コア・チームの作り方
法則 1 スポンサーの存在
スポンサーとは
- スポンサーは、チームが結果を出すために必要な「人」「モノ」「金」「情報」を集め、環境を創る人である
- プロジェクトの推進役としてのリーダーではなく、プロジェクトの進捗を管理する上位者である
スポンサーの適性
- スポンサーは、組織(会社)の中で、それ相応の力を持っていることが望ましい。スポンサーの力のあるなしで、チームは安定したり、不安定になったりする
スポンサーの心得
- スポンサーは、保身に走ってはならない
- チームが安心して取り組める環境をつくる
- チームに必要な資源を用意する
- チームの成功のために必要なサポートを行う。ただし、リーダーよりも、さらに大局的な視点を持つこと
法則 2 リーダーの存在
価値創造におけるリーダーとは
- 自ら学習者のロールモデル(お手本)となり、個々のメンバーの熱い思いを融合させ、ビジョン達成のためにチーム学習を実現する環境をつくる
価値創造におけるリーダーの役割
- 価値創造のために、チームを未知の世界に引き込み、ともに学習・創造する。価値を生み出すプロセスで、メンバー全員を無我夢中にさせる
- チームがゴールに到達するために、エネルギーを与え、必要な支援をする
価値創造におけるリーダーの心得
- 固定観念にとらわれることなく、つねに考え、学ぶことを奨励する
- 多様な意見を引き出す
- 他者から学び、自らの考えを変えていく
法則 3 コーチの存在
コーチとは
- チームに属さず、側面からチームの成功を支援する人
コーチの役割
- チームあるいはチームリーダーに、プロジェクト推進のプロセスを指導する
- プロジェクトに対する責任や義務からではなく、自らの意思で、プロジェクトの成功を支える
コーチの心得
- 成功に必要な経験と知識を活用する
- メンバーの成功を心から願い、信頼関係を構築する
- 必要なことを、メンバーのレベルに合わせて指導する
- 答えを与えるのではなく、考え、気づくプロセスを提供する
法則 4 チームメンバー
チームメンバーの心得
- ビジョンに向けて、各自が自らの役割を実感する
- ビジョンを共有し、緻密に連携する
- 本音でぶつかることを厭わない
- 他者の貢献を積極的に評価する
- 多くのチームは、チームとして機能し始めるのに、ある一定の時間を要することを理解する
チームメンバーの適性
- テーマについて、こだわりを持って取り組める人
- 優等生の回答ではなく、自分で考えることを大切にする人
- テーマに必要な知識を持った人を、幅広い部門や立場から選ぶ
法則 5 チーム要綱
- 早期に決めておくことが望ましい
目的
- どんな成果が不可欠なのか
- 主たるマイルストーンは何か
- 評価基準は何か
期限とスコープ
- チームの作業やプロセスに含まれる範囲と含まれない範囲
- チーム以外の誰に、どこまでの協力や指導を得られるか
- チームで決められること、決められないこと
役割と責任
- スポンサーへの報告
- リーダーの役割
- メンバーの役割
価値観とルール
- 会議の進め方
- 意見が分かれたときの対処法
- 共有したい価値観
法則 6 チームのアラインメント
アラインメントとは
- アラインメントとは、各自の方向性(ベクトル)を合わせることで、チームの一体感実現することである。全体として、各自が有機的に結びついた状態で、相乗効果を高めながら、チームの能力を高めることができる
アラインメントの点検
- 共有ビジョンはあるか
- ミッション(使命)は明確か
- 共有する価値観はあるか
アラインメントの5段階評価
チームのアラインメントは5段階で評価できる
- 第1のレベル 一貫性のある行動がとれている
- 第2のレベル 態度や姿勢が共通している
- 第3のレベル 共通の思考プロセスが確立されている
- 第4のレベル 感動を共有する
- 第5のレベル 全員が信念に裏付けられた取組みをしている
学習する組織の秘密
法則 7 パーソナルマスタリー
パーソナルマスタリーを持つための質問
- 私は、なぜこの仕事に取り組むのか?
- 私は、この仕事で何を達成したいのか?
- 私は、この仕事を通じて何を得る(学ぶ)のか?
- 私は、次に何をしたいのか?
パーソナルマスタリーを持っている人は、以下の問いに答えられる
- 私は、動機(モチベーション)の源泉は何か?
- 私は、自分らしさを活かし、世の中あるいは、周囲に対して、どのような貢献をしたいのか?
- 私の追い求める夢(ビジョン)は何か?
法則 8 チーム学習
チーム学習とは
- チームは、共同で意思決定を行い、アクションを推進する。成功の前には、失敗の連続ということも少なくない。成功するチームの特徴は、その失敗から早期に学習することである。行動するなかで、失敗という危険を、一人の知恵ではなく、チームの知恵に変えることができるチームは強い
- チーム学習のプロセスを繰り返し行うことによりチームは成長し、よりよい行動、よりよい結果を実現することができる
チーム学習のプロセス
- 失敗から学ぶ
- 行動と結果を内省し、仮説を立てる
- 仮説を次の行動に反映させる
法則 9 メンタルモデル
メンタルモデルとは
- 私たちが、これまでの経験により持っている色眼鏡、判断の尺度である
- 私たちは、無意識のうちに、現状を把握するときに色眼鏡を使い、自分の尺度を用いて判断している
- このため、同じ事象に対しても、人によって異なる判断を行うことになる
- チームが合意形成をする場合、メンタルモデルが最大の障壁となる
メンタルモデルへの対処
- 意見が相違した場合、どちらが正しいかの議論をすぐに始めてはいけない
- お互いの意見の違いではなく、前提となっている尺度の違いに焦点をあてる
- お互いの尺度を理解し、目的に合わせて尺度を見直すことで、合意形成を実施する
- 目的に照らして、尺度に優先順位をつける
- 尺度の優先順位により、意思決定を行う
法則 10 システム思考
システム思考とは
- システム思考とは、ひとつの現象を点として捉えるのではなく、全体における構成要素として捉えることから始まる
- 構成要素として捉えたら、達成したいゴールのために、どこに働きかければよいかを考える
- 行動したら、直接的効果とともに、全体に対する間接的効果についても把握しなければならない
システム思考の心得
- 点ではなく、全体の構成要素として捉える
- どこに働きかけるかを考える
- 行動の効果を多方面から検証する
対話と会議の心得
法則11 共有ビジョン
共有ビジョンとは
- 共有ビジョンは、文言として共有されていても意味がない。私たちの心や体の一部として実感できる状態でなければならない
- 共有ビジョンとは、チームのビジョンであり、各自が主体的に行動するための個人のビジョンでもある。リーダー一人のビジョンではなく、共有ビジョンとなるためには、各自が自分のビジョンとして、主体的に取り組む(オーナーシップ)必要がある
共有ビジョンの点検
- チームの役割とゴールが明確になっているか(チームのビジョン)
- チームにおける役割とゴールを各自がもっているか(共有ビジョン)
- 共有ビジョンと現実のギャップを正しく把握しているか
- ギャップを埋めるために何をすべきか
- 共有ビジョンの実現に向けて、一人ひとりが強い意志と熱い思いを持って行動しているか
法則12 意思決定のプロセス
意思決定への参画
- 意思決定に参画すると、決定事項にオーナーシップが生まれる。それは、決定事項が上からの指示として下りてくる場合とは、全く違う意味合いを持つ
- 意思決定の展開に深く巻き込みたい人たち、あるいは、巻き込むことが重要だが困難な人たちを、意思決定に参画させるべきである
- 意見の違う人たちを意思決定に参画させると時間と手間を要するが、決定直後からアクションを開始できるので、全体として見れば、時間の浪費にはならない
意思決定の心得
- 「正しい・ただしくない」の評価を保留にして耳を傾ける
- 意見と人を切り離して考える
- 違う意見に対して好奇心を持つ
- 合意形成の目的意識を持つ
法則13 対話・会議の進め方
対話・会議の心得
- 会議が効率よくゴールに到達できるよう、事前に十分な準備をしておく
- 目的、ゴール、ゴールまでのステップを、スタート時に全員が共有する
- 会議終了時に、会議の成果と次のステップを確認する
対話・会議の進め方
- 対話と会議において、4つの段階を明確にする
- 主張する
- 他社の主張を理解する
- 主張(意見)を評価する
- 結論に導く
- よい意見だが直接議論に関係ない意見は、将来のために「意見保管箱」に入れておく
書評「チーム・ダーウィン」が雑誌でとりあげられました
2008年9月
日経ビジネスAssocie 20080819号 日経BP社
「テンポ良く展開する物語の中で登場人物の言動に共感したり、慨したりしながら、「学習する組織」のエッセンスを学べる。リーダーシップのあり方、会議の進め方など、個人レベルで実践可能な要素も多く参考になる。」とご紹介いただきました。
2008年9月
週間ダイヤモンド 20080920号 株式会社ダイヤモンド社
「学習する組織とは、社員が協力し合って変化に迅速に対応し、組織も社員も大人に成長していく、そんな成長する組織のことだ。しかしスピード感やお手軽なノウハウを求める昨今、学習する組織はコーチングにとって変わられてしまった感がある。この学習する組織を改めて実に見事に思い出させてくれるのが本書なのである。」とご紹介いただきました。
2008年10月
THINK! AUTUMN NO.27 「気づき」の技術
「分かりやすい形で、多くの人に組織というテーマを掲げる必要性を説いた意欲作である。ストーリー自体の面白さもさることながら学習する組織の本質である、気づき、対話、相互作用、価値創造、実現へのプロセスなどがうまく描かれている。」と、気づきの技術が身につく1冊として、ご紹介いただきました。