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女性セミナー 幸せな人生・幸せな社会(その1)

2018.4.9文部科学教育通信掲載

2018年2月26日に、保険会社のエムエスアンドエイディーホールディングスで活躍する女性の皆さんを対象に基調講演を行いました。その内容をご紹介させていただきます。

 

1.私たちが生きる社会

・20世紀の後半から、経済社会は変化・複雑・相互依存の時代に入ったと言われている。OECDは2003年に教育改革を行っている。そのような時代を生きるためここから多くを学びたい。今は先例のない複雑な問題に対処する力が必要だ。相互依存の時代には教育が大変重要であり、大人も学び続けなければならない。

・2013年、安倍首相が経済界に対し女性管理職を2020年までに30%にするよう要請した。なぜ首相が実現しない目標を掲げるのか腑に落ちなかったが、答は到達できない目標でも掲げなければ始まらなかったということだ。

2012年、IMFのラガルド専務理事は日本の潜在成長率の低下に歯止めとかけるには女性の就業促進がカギと発言しており、安倍首相の「2020年までに30%」に影響を与えたのではと思っている。

・労働人口の急激な減少で女性の活躍推進が日本の成長維持に重要なポイントとなっているが、日本では今日まで女性活躍推進が成功していない。

・男女平等指数ランキングでも日本は114位(144カ国中)である。教育や健康は高指数だが、経済と政治がとても低い。

「日本は女性に投資しているのにもったいない。もっと女性が活躍できるはず」というのが世界の見方、このランキングは日本では女性が意思決定に参加していないことを示している。

・日本では生活者の視点がない人たち、女性の生き方がわからない人たちが重要なことを決めており、そのことが日本を難しくしている。

幸せな社会を作るために、皆さんならまず管理職になって意思決定の場に入ってもらいたい。

・女性が活躍するためには社会モデルのシフトを実現する必要がある。

男性は企業戦士、女性は母親として家庭を守るという分業の社会モデルを変えるということをこそ、安倍首相は言うべきだった。

女性も男性も経済と家庭の両方に関与することを前提とした働き方に移行する必要がある。社会が求めることが生き方にも関わってくる。

・これまでは長時間働くことがよしとされてきた。

共働き社会を実現するためには長時間労働を評価する価値観ではだめだ。

働き方改革のロジックはあっているが、これまで大切にしてきた価値観そのものの転換が必要であることを無視している。

・日本の過去の経済成長を支えた日本的な雇用慣行、新卒一括採用、終身雇用、年功序列等を変えていかなくてはならない。

・働き方改革の入口は女性活躍推進・共働き社会実現の妨げとなっている長時間労働の是正であったが、そこからさまざまに展開している。

・将来はAIが労働力の代替となる可能性も高い。

・また、人生100年時代と言われ、今までとは違うニュアンスで働き方が語られてきている。

・会社と社員の関係は対等な大人同士になるべきとも言われ、働く場所や時間を社員が自由に選べるユニリーバ・ジャパンや、積極的に兼業を認めるロート製薬など、多様な働き方を提唱する企業も出てきている。

2.私たちが未来を創る 

・自分たちが未来を創る、この流れは止まらないと確信している。

2006年に女性活躍の第一の波があり、2014年に転換点があった。

若い女性から働き続けなればならない意識に、早めにキャリアを積みたいという意識に変わっていった。そうなるとパートナーである男性の意識も変わる。共感者も増えていく。

・働き方改革・女性活躍推進の現状を氷山で捉えると、表層的に起きている出来事は根底にある氷山(社会通念や企業風土、価値観等)に支えられていることわかる。

社会全体がものの見方を変えて、新しい社会創りに貢献していく必要がある。まずは自分のマインドから変えて、周囲の近い人から一緒に変化を作っていこう。

・個人が幸せになる働き方改革を実現するためには、個人・企業・社会の3つの視点での改革が必要になる。

我々は選択してその場所にいるのだから、自分の人生に対して自分で責任を持たなくてはならない。働き方改革の根底には人々の自立が必要だ。

・どういう社会、何が幸せか、受け身ではなく自分で選び参加して作り上げなくてはならない。今までの社会を前提に自分のキャリを想像しない方がよい。

 

3.世界でも女性活躍推進

・サウジアラビアの状況の視察紹介。

サウジアラビアでは男性王国と同じように女性王国が存在し、それぞれ別々に生活している。女性たちは女性王国で日本女性より元気に生き生きと活躍していた。大学にも当然のように保育園もあって感動した。

・日本にはサウジアラビアのような女性王国はない。

男性王国のスペースを少し広げてもらい、小さくなって生きている状況だ。

・フェイスブックのCOOを務めるサンドバーグ氏が著書の中で、自信のなさや自制等女性自身の弱点について語っている。

成功している女性がわざわざ女性の弱みについて語るのは異例なことだ。

社会的風潮にも問題はあるが、女性自身が内側に作った心の障壁を克服し、一歩踏み出すことが重要だと指摘している。

・国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の中でも女性のエンパワーメントが重要項目に挙げられている。

ジェンダーの不平等をなくすことは倫理的に正しいだけではなく、地球的な成長に不可欠なことだ。

・グーグルはダイバーシティ推進の狙いはアンコンシャスバイアスを撲滅することして、社員の教育に取り組んでいる。

無意識の偏見が潜在的な能力を削いでいるのだ。

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