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2030年 未来の社会・教育シナリオ

文部科学教育通信No.364 2015.5.25掲載

未来教育会議は、未来の社会、未来の人、未来の教育をマルチステイクホルダーで共に考え、豊かな現実を創造していくためのプロジェクトです。2014年3月に、博報堂、教育と探求社、慶応大学システム・デザイン研究所ソーシャルデザインセンターとともに立ち上げました。

初年度は、国内外40カ所のスタディツアーを行い、今、教育に何が起きているのかを学びました。国内では、新たな教育に挑戦している学校や、教育課題に取り組むNPOの現場視察を行い、文科省をはじめとする教育行政に関わる方々へのインタビューを行いました。教育再生会議のメンバーや、大学の研究者にもお話を伺いました。海外では、世界一子どもが幸せな国オランダと、世界一大人が幸せな国デンマークにも、視察に行きました。 国内外のスタディツアーから明らかになったことを踏まえて、議論を重ねた末、「未来の社会・教育シナリオ」が完成しました。

今回は、未来教育会議が作成した 2030年 社会と教育の3つのシナリオ(資料1)をご紹介します。

2030年 社会と教育の3つのシナリオ

「2030年 未来の社会・教育シナリオ」

シナリオ① 21世紀型スキルを画一的に学ぶ学校(資料2)

 

21世紀スキル教育への進化が唱えられているが、その実施は画一的、マニュアル的に展開する。

20世紀の価値観を前提に、21世紀スキル教育を行うため、本来21世紀に求められる教育へのシフトは、実質的には実現していない。

一部の優良校において本格的な21世紀型の教育改革が進み、教育格差はますます深刻な問題となる。

世界の多くの国々では、新興国や途上国も含めて、21世紀型教育へのシフトが進み、日本企業のみならず、日本の若者のガラパコス状態は、深刻な事態になる。

技術革新が進み、多くの仕事が、人から機械に取って代わる中、創造性や問題解決力のない20世紀人材の多くは、就職が困難な状態となる。

シナリオ②地域と繋がり学ぶ学校(資料3)

地域の人口減少と学校閉鎖の危機感が合致し変革の力に昇華する。地域作りと、教育の連携が進み、本質的なコミュニティスクールの学校が増えている。

都市部においては、大企業を中心とした既存の経済システムも限界に来ている。

このため、地方で子育てをする若い夫婦が増え、地域の活性化が進む。

地域のあり方と、教育のビジョンの議論を成熟させた自治体を中心に、学校と地域の連携を本格的に図る動きが活発化。教育は、学校にまかされるものではなく、家庭と学校と地域とでホーリスティクに行われるという考え方に変化していく。子どもたちは、家庭、学校、地域による連携のとれた教育環境の中で、のびのびと、21世紀スキルを習得する。

地域経済の活性化への期待が、起業家精神を奨励し、事業創造により新たな雇用創出に繋がる。子育て世代は、地域経済を活性化する原動力となる。

シナリオ③ (資料4) 社会と一緒に学ぶ学校

 

学校+家庭+地域+民間企業による教育へと、学校のオープン化が進んでいる。

公教育の21世紀モデルへの転換が進み、経済格差による教育格差はない。

管理型、マニュアル型教育を手放した学校では、子どもたちの主体性が開花する。多様な才能を評価する価値観が根付き、子どもたちの自己肯定感と学ぶ意欲は高まる。学習と人生の目的が結びつき、「なぜ学ぶのか」に、子どもたちは答えられる。

社会の流動性が進み、大人の学び直しも活発になり、生涯学習環境も整う。

日本企業も、21世紀モデルへの転換が進み、イノベーションによる高付加価値戦略を通して、持続可能な成長を実現する。21世紀スキルを持つ人々で溢れる社会では、社会のイノベーション力も高まる。

人々が自己を活かす社会では、多様な生き方が歓迎され、同時に、個人は、共生社会を実現するために責任を持つ。

言うまでもなく、私たちの願いは、シナリオ③を実現することです。21世紀スキルという言葉が1人歩きしていますが、21世紀に最も大切なことは、20世紀の価値観を手放すことです。工業化社会の担い手を創る教育から、イノベーションを実現する人を育てる教育にシフトするために、社会も変わる必要があります。持続可能な成長と、多様な人々が幸せに共生出来る社会を実現するために、教育に今、何が求められるのかを一緒に考えて行きたいと思います。シナリオの詳細は、HP (http://miraikk.jp/cat-03/1472)をご覧下さい。

 

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