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米国でも、マックスウェルハウスワイフは人気

ハーバードビジネススクールのスターバックス社事例を読んで、とても驚いたのが、マックスウェルハウスワイフという宣伝広告の話だ。ハワード・シュルツ氏のスターバックス成功物語への敬意は別の機会に述べるとして、女性の生き方に大きく関係のあるマックスウェルハウスワイフを話題にしよう。

スターバックスに代表されるスペシャリティ・コーヒーが登場する以前のアメリカでは、コーヒーは、主にスーパーマーケットで大衆向けに販売され、カフェではなく家庭で多く飲まれていた。大手メーカーは、熾烈なシェア争いに勝つために、テレビや新聞に大々的にコマーシャルを打っていた。広告宣伝の対象は主に女性で、キーメッセージは“家族を喜ばせることの重要性と、そのためにおいしいコーヒーを入れることがいかに重要であるか” である。

スターバックス物語には、1960年代のコーヒーのコマーシャル事例がいくつか紹介されているのだが、その事例は何度も読み返さなければならないほど、信じられない内容だった。あの女性活躍先進国のアメリカで、こんなコマーシャルが放映されていたとは...では、そのコマーシャルをご紹介しよう。

あるインスタントコーヒーのポスターでは、頭からコーヒーカップをひっくり返し、顔がコーヒーでびしょぬれになった女性の写真が使われていて、「男性諸君、かんしゃくを起こしてこんなことにならないように、おいしいコーヒーを入れてもらおう!」というメッセージが書かれている。

フォルジャーズのテレビコマーシャルは、オルセン夫人が、まずいコーヒーを出して夫の楽しみを台無しにしている多くの主婦たちにフォルジャーズのコーヒーを勧め、結婚生活の救世主になるというシリーズもの。
http://www.youtube.com/watch?v=Avsp_UJ3mrY&NR=1

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【かわいいマックスウェル ハウスワイフのTVCM】Picture11.jpg

ジェネラルフーズのコマーシャルは、双子を授かって疲れきっている妻においしいインスタントコーヒーを勧める夫が、「いつもご機嫌なマックスウェルハウスワイフでいてくれば、双子がいてもこの結婚生活は大丈夫だよ」というもの。

これらのコマーシャルが米国社会で受けいれられていたのは、今から、50年前の話である。我々の母親世代は、マックスウェルハウスワイフでいることが期待されていたのだ。

そう言えば、2005年に、米国で成功している女性リーダーたちを対象にインタビューを行った際に、1970年半ばにスタンフォードでMBAを取得し、シティバンクでキャリアウーマンを始めた日本人女性が語ってくれた。「1970年代半ばのアメリカには、女性向けのスーツも、ビジネス鞄も無く、その当時、働く女性といえば、秘書や受付業務が中心で、男性と互角に働くという概念は、一般的ではなかった。」そうである。当時の苦労が偲ばれる。アメリカにおいても、女性の社会進出が実現したのは、ここ約30年間の話なのである。

ハウスワイフの人生、バリバリのキャリアウーマンの人生、キャリアと家庭のバランスのとれた人生と、女性には多様な生き方の選択肢が用意されている。その結果、女性には自己責任で自分の生き方を選ぶ力が求められている。

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