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TABLE FOR TWO

2007年に創設されたTABLE FOR TWOは、開発途上国の飢餓と先進国の肥満や生活習慣病の解消に同時に取り組む、日本発の社会貢献運動です。
世界の67億人の人口のうち、10億人が飢えに喘ぐ一方で、10億人が肥満など食に起因する生活習慣病に苦しんでいます。この深刻な食の不均衡を解消するため、2007年の秋に日本でTABLE FOR TWOが創設されました。名称の由来は、TABLE FOR TWO、直訳すると「二人の食卓」。先進国の私たちと開発途上国の子どもたちが、時間と空間を越え食事を分かち合うというコンセプで名づけられました。TABLE FOR TWOに参加することによって得られる地球人としての一体感と思いやりの心が、現在の世界にとって不可欠だと考えられています。
2008年末までの約1年間で、TABLE FOR TWOプログラムへの参加企業・団体数は100を突破しました。食堂から始まったプログラムは、一般の方にもご利用いただけるカフェへ、そしてネットスーパーやコンビニの食品へ、次々と広がっています。
TABLE FOR TWOの活動内容もプログラムの推進だけにとどまらず、講演会開催や本の出版、ブログキャンペーンなど、TABLE FOR TWOの理念や問題意識の啓蒙活動へと拡大中です。また、日本で始まった活動は海を越え、アメリカにも広がりを見せ、2008年にニューヨークで支部を開設し、2009年より活動が始まっています。

【プログラムの仕組み】
対象となる定食や食品をご購入いただくと、1食につき20円の寄付金が、TABLE FOR TWOを通じて開発途上国の子どもの学校給食になります。20円というのは、開発途上国の給食1食分の金額。つまり、先進国で1食とるごとに開発途上国に1食が贈られるという仕組みになっています。支援先はアフリカのウガンダ、ルワンダ、マラウィの3か国 で、支援国選定基準は、深刻な貧困状況が生じていること、政情が安定していること 、給食事業の管理・報告体制が整備されていること等です。
現在、その基準のもとに、東アフリカに位置する上記3か国の給食事業を支援中で、今後は、寄付金の増加に伴い、支援地域を随時拡大していく予定です。

Picture2.jpg詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧下さい。 Table for Two http://www.tablefor2.org/

ティーチ・フォー・アメリカ(Teach For America)

アメリカ合衆国のニューヨーク州に本部を置く教育NPOです。
アメリカ国内の一流大学の学部卒業生を、教員免許の有無に関わらず大学卒業から2年間、国内各地の教育困難地域(低所得者居住地域など)にある学校に常勤講師として赴任させることで、子どもたちに優れた教育指導を受ける機会を提供しています。 同時に、TFAプログラムに参加する学生には、生涯に亘ってどの分野でも通用するリーダーとして必要な信念と洞察力を得る機会となっています。

【ミッション】
合衆国の将来有望なリーダー候補生をTFAプログラムに参加させることで、国内に存在する教育機会の不均等を取り除くこと

【沿革】

  • 1989年にプリンストン大学の4年生であったウェンディ・コップが卒業論文で論じたアイデアがこのTFAプログラムの出発点
  • 大学を卒業したコップはモービル石油、ハーツレンタカー、モルガン・スタンレーなどから26,000ドルの資金と事務所、自動車6台の提供を受けてプログラムをスタートさせた
  • プログラムには当初懐疑的な意見もあったが、プログラムが送り込んだ講師の評価はまずまず高く、また、このプログラムを終了した人材の優秀性も認められたことから、エリート大学の学生の最初の就職先として大人気となっている。採用される学生の半数がエール大学、ダートマス大学、コロンビア大学、シカゴ大学、デューク大学などの名門校出身者
     

【評価】
学部学生の最初の就職希望先として2007年には就職先人気ランキングの10位に入っている。(転職が当たり前であるアメリカでは、「キャリアをスタートさせるに相応しい場」と考えられている)。デロイトアンドトウシュ、グーグル、ゼネラルエレクトリックは、ティーチ・フォー・アメリカと提携し、採用内定学生が就業前の2年間TFAプログラムに参加することを認めている。 大企業がTFAプログラムに参加する人材を優遇する背景には、TFAプログラム参加者が創造性やリーダーシップにおいて優れているとの評価が確立しているという状況がある。

【資金源】
ティーチ・フォー・アメリカは数多くの大企業から何百万ドルもの寄付金を提供されている。

【2010年のゴール】

  • 国内の33地域に7500人の講師を派遣すること
  • 教育困難地域の公立学校に通う60万人の生徒にこのプログラムを提供すること
     

フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」

The Habits of Mind (ハビッツ・オブ・マインド)

The Habits of Mindとは、答えがわからない時に賢明に行動するために役立つ16の思考習慣のことである。この思考習慣を開発したのは、カリフォルニア州立大学のArthur L. Costa教授であり、“粘り強く取り組む”“明確に、考えて、伝える”というような全部で16の習慣から成り立っています。The Habits of Mindは思考ツールではありません。すぐには答えのわからない問題に直面した時に賢く行動するための、望ましい思考習慣のことです。

Habits of Mindを取り入れる時は、以下の事柄に留意すると、パワフルな結果を生み出すことができます。

  • Value(バリュー):実りの少ない行動よりも知的行動を選ぶ
  • Inclination(傾向):知的行動を採用しようとする
  • Sensitivity(感受性):知的行動の時期や適切性について敏感に感じ取る
  • Capability(能力):実行に移すための基本的スキルや能力を持っている
  • Commitment(コミットメント):常に行動の結果を見直し、改善する

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【Habits of Mind 一覧】

  1. Persisting(粘り強く取り組む)– Stick to it.
  2. Thinking and communicating with clarity and precision(明確に考え、伝える) – Be clear.
  3. Managing impulsivity (行動する前によく考える)– Take your time.
  4. Gathering data through all senses (全ての感覚を動員してデータを集める)– Use your natural pathways.
  5. Listening with understanding and empathy (理解と共感を持って相手の言うことに耳を傾ける)– Understand others.
  6. Creating, imagining, innovating (新しい考えを生み出すために創造性、想像力、革新性を働かせる) – Try a different way.
  7. Thinking flexibly(柔軟に考える) – Look at it another way.
  8. Responding with wonderment and awe(世界の驚きと神秘を発見する) – Have fun figuring it out.
  9. Thinking about your thinking (metacognition) (自分の考えの影響力を知る)– Know your knowing.
  10. Taking responsible risks (リスクを冒す)– Venture out.
  11. Striving for accuracy and precision (正確さを求めて念には念を入れる)– Check it again.
  12. Finding humor(ユーモアを忘れない) – Laugh a little.
  13. Questioning and problem posing (疑問を持ち、問題を提起する) How do you know.
  14. Thinking interdependently (一緒に働く)– Work together.
  15. Applying past knowledge to new situations (過去に学んだことを生かす)– Use what you learn.
  16. Remaining open to continuous learning(常に学び続ける) – Learn from experiences。

出典: 16 Habits of Mind を和訳
http://mtsd.k12.wi.us/MTSD/Steffen/hom/default.html


【学校現場での応用】
■Persisting(粘り強く取り組む)
粘り強く取り組んでうまくいった体験を生徒と共有する

■Managing impulsivity (行動する前によく考える)
生徒に質問を投げかけた後、生徒に考える時間を与えてから答えさせる (平均的な先生は質問をした後、1秒しか待たずに生徒を当てたり、違う質問をしたり、自らが答えを言ってしまう)

■Listening with understanding and empathy (理解と共感を持って相手の言うことに耳を傾ける)
相手と話すときに、ポーズをとる、自分の言葉で言い換える、より適切な言葉を探す

■Thinking flexibly(柔軟に考える)
視点を変えて、他に良い考えはないか探してみる

■Thinking about your thinking (metacognition) (自分の考えの影響力を知る)
問題解決戦略を説明させる
計画を実行に移すときに考えを共有する
戦略の効果を評価する

■Striving for accuracy and precision (もう一度チェックする)
正確さを確かめる質問を生徒にする 「なぜ自分は正しいと思うか?」
「他にどんな方法で自分が正しということを証明できますか?」

マルチプルインテリジェンス

マルチプルインテリジェンスとは、1983年に、合衆国ハーバード大学の教授、ハワード・ガードナーが提唱し、現在世界で広く認知されつつある理論です。知能を20世紀のIQテストに基づく知能観では測ることのできない複雑で複合的な力、常に変容・発達可能な力と捉えています。

ガードナー博士は人間の潜在的な能力を測るものとして以下の8つの知能を上げています。

  1. 言語的知能            Linguistic intelligence (word smart)
  2. 数学的・論理的知能    Logical-mathematical intelligence
                   (number/reasoning smart)
  3. 空間的・視覚的知能    Spatial intelligence (picture smart)
  4. 身体的・運動的知能    Bodily-Kinesthetic Intelligence(body smart)
  5. リズム・音楽的知能     Musical intelligence (music smart)
  6. 対人関係の知能         Interpersonal intelligence (people smart)
  7. 内観の知能            Intrapersonal Intelligence (self smart)
  8. 自然・環境の知能      Natural-Environmental intelligence (nature smart)


人間は誰でもこの8つの知能を持って生まれ、どの知能が強いか弱いかという“程度”と“組み合わせ”が一人ひとりの「個性」になります。

【学校教育への応用

  • 伝統的な学校教育では、ガードナー氏がいう「言語的知能」と「数学的論理的知能」が学ぶことして、また達成目標として強調されてきました。今までの人間社会がこの2つの能力を職業との関連で要求してきた、というのがその大きな理由です。
  • 学校教育の現場で、アーティスト、建築家、音楽家、自然愛好家、デザイナー、ダンサー、セラピスト、起業家などの「言語的知能」と「数学的論理的知能」以外の才能を持つ子供たちも同様に注目され、評価されるべきであると考えられるようになりました。
  • カナダ、アメリカ、オーストラリアではマルチプルインテリジェンス理論をベースにした教育実践が進められていますが、日本での認知度は、まだまだ低いです。このマルチプルインテリジェンス理論をベースにした実践を進めていくことで、日本の教育をめぐる現状が少しでも改善できるでしょう。
  • 同じことを学ぶとしても、個々の知能の特性や傾向によって、アプローチの仕方が、異なる、という事を意識することが、教師にとっても学習者にとっても有益となります。
  • 教師が学習プログラムを作成する時に、「この活動は、….の知能を使うことを要求、又は、刺激している。」と意識することや、一つの学習プログラムを見渡す時に「できるだけ多くの子供たちに、得意分野を活かせる場面や満足感を与えるために、8つの知能の偏りがないようにいろいろな知能を使わせよう」と、意識することが、子供一人ひとりをきめ細かに見ることにつながります。 
     

【8つの知能を意識して教える】
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アダム・カヘン氏ファシリテートによる 社会変革の実践:チェンジ・ラボ ワークショップ

アダム・カヘン氏のワークショップに参加しました。

日時:2010年4月9日(金)~4月11日(日) 2泊3日
場所:山梨県清里高原 「清泉寮」 主催:SoL Japan 
概要:我々は、より良く健全な未来のために、直面している最も難度の高い課題に対して可能性を開く変革を起こすために、新しいアプローチで取り組む必要があります。
チェンジ・ラボの手法を通して、様々なレベルで直面する複雑な課題に対して、システム的に、創造的に、そして主体的参加をもとに、取り組む方法を学びました。

アダム・カヘンとのランチミーティング

アダム・カヘン氏の来日を記念して、ランチミーティングを企画しました。

日時:2010年4月8日(木) 11:00~12:45
場所:国際文化会館 Room4
目的:この変化の時代を共に生きる私達に何ができるのか、未来へ流れを創る本質をアダムカヘン氏との対話を通して、答えを探りました。
主催:(株)エイテッククマヒラ、SoL Japan
参加者:
東京大学 理事 江川雅子氏
有限会社チェンジ・エージェント 代表取締役社長 小田 理一郎氏
経済産業省経済産業政策局 企業行動課長  糟谷敏秀氏
人と組織と地球のための国際研究所(IIHOE) 代表  川北 秀人氏
特定非営利活動法人ジェン(JEN) 理事・事務局長   木山 啓子氏 
政策研究大学院大学 教授 黒川 清氏
(株)ヒューマンバリュー  代表取締役    高間邦夫氏
株式会社野村総合研究所 IDELEA事業推進責任者 永井 恒男氏
(株)グリーンフィールドコンサルティング 代表取締役  西村行功氏
株式会社野村総合研究所 常務執行役員 山田 澤明氏
(事務局)梅田一見、由佐美加子、熊平美香

脱工業化社会と教育

日本教育大学大学院 第2回研究大会(2009年11月28日)で講演を致しました。 以下に概要を記します。

【概要】
「2020年に、社会に出る子供たちは、どのような時代に生き、どのような貢献が期待されるのでしょうか。そのために、私たち大人は、何を子供たちに教える必要がありますか。そのために、私たちに何ができますか」皆さんとともに、その答えを見つけ、建学の精神である「教育の次代を創る」に貢献したいという思いから、本テーマを選びました。

2000年に発表されたOECDの「生徒の知識と技術の測定(PISA)」の報告書の序文に、Prepared for Life (人生の準備は万全か)というタイトルで次のように書かれていました。「若い成人が未来の挑戦に対処すべく、はたして十分に準備されているだろうか。彼らは分析し、推論し、自分の考えを意思疎通できるであろうか。彼らは生涯を通じての学習を継続できる能力を身につけているだろうか。父母、生徒、広く国民、そして教育のシステムを運用する人々は、こうした疑問に対して解答を知っておく必要がある」

日本教育大学院大学の学長に就任するまで、私は、企業や組織人を対象とした成人の教育に約15年係わってきました。その結果、いわゆる優等生に共通の2つの課題があることが明らかになりました。一つは、「あなたはどうしたいのか」と聞くと、硬直してしまうことです。小さい時から、親や先生や社会の求めるレールを走る子供たちには、次々とチャレンジが与えられます。良い成績をとる、良い学校に合格する、一流企業に就職するなど、自分がどうしたいのかを考える必要もなくチャレンジテーマが与えられ、そして、それに答えると褒められるのです。その結果、自分は、どうしたいのかという問いかけをすることなく大人になるのでしょうか。二つ目は、正解が一つでない問題に答えられないことです。勉強における問題を解くプロセスは、設問が与えられ、効率的に問題を解き、一つの正解に到達するプロセスです。ところが、正解が一つでない問題の多くは、問いが用意されているわけではありません。自分で、問いを立て、答えを見出さなければなりません。

私は、本学に来るまでOECDの序文の存在を知りませんでした。この序文を読み、先に述べた2つの課題と共通点があることに気付きました。多くの企業は、すでに、前例のない問題解決の力を必要とし、自分の意思でそこに立つリーダーを求めるようになりました。未来の挑戦は、もうすでに始まっているのです。

日本の教育は、工業化社会における日本の経済成長に大きく寄与してきました。工業化社会の幕開けは、1908年にスタートしたT型フォードの大量生産への取り組みです。工業化社会に求められるのは生産性です。日本の学校が教える組織行動は、画一性、効率やスピードによる生産性の向上を支えました。また、質の高い日本人の情報処理能力は、モノづくりの現場における品質管理に大きく寄与しました。

私は、高校の時、NY州の田舎町にあるイサカハイスクールに1年間留学しました。クラスルームはなく、自分の机もありません。履修するクラスは自分で選択します。卒業旅行、キャンプ、運動会など全員参加の行事はありません。このような教育は、集団行動を学ぶには、あまり良い結果をもたらしません。その一例をご紹介しましょう。1989年、100人のハーバードビジネススクールの学生を連れて日本に帰国しました。成功している日本企業を見学しインタビューをするためです。企業訪問の合間に休憩時間を設けましたが、休憩が終わり、歩き始めて10分もたたないうちに、学生が、お手洗いに行きたいというのです。こんなことが、数回続きました。「休憩時間にお手洗いをすませる」日本人にとって当たり前の集団行動を知らないアメリカ人たちは、自分が集団行動に迷惑をかけているという概念すらないようでした。

このように、日本の教育の素晴らしいところはたくさんあります。しかし、脱工業化社会という新しい時代において、新たに求められることがあるはずです。本日の講演内容を日本の教育の未来を考えるきっかけにしていただけたらと思います。これまでの教育では、「生きる準備が万全」と言えない新しい時代とは、どのような時代なのでしょうか。

1989年ベルリンの壁が崩壊し、冷戦時代が終焉します。そして、地球全体が、自由資本主義に基づく経済活動の渦に巻き込まれることになります。国際関係に使われていたインターナショナルという言葉は、ソ連が崩壊した1992年以降、グローバルという言葉に変わります。かつて、グローバル競争の脅威とは、欧米企業が、日本を指す言葉でした。しかし、今日では、日本企業も、欧米や新興国によるグローバル競争の脅威にさらされるようになりました。経済のグローバル化は、実態経済よりも、IT化に支えられた金融経済においてより大きな発展を遂げました。

コンピュータや情報通信分野における技術革新のスピードは、ドッグイヤーと言われています。犬の1年は、人間の7年に相当するのですから、我々は、猛スピードで、技術革新のスピードについていかなければなりません。さらに、インターネットビジネスは、デルのように、購買者が自分のスペックに合わせて購入する商品の仕様を決めることを可能にしました。消費者は、わがままになる一方です。

グローバル競争、技術革新、顧客ニーズの多様化により、競争優位性を維持することがますます大きなチャレンジになってきています。さらに、環境問題や貧困問題などの社会問題も加わり、まさに、OECDの序文にある通り、未来の挑戦が山積している状況です。その結果、個人は、これまでのように良い学校、良い会社という社会の決めたレールに乗るのではなく、自らの意思で、人生を選択するべき、という流れになっています。

ワールドワイドウェッブにより、それ以前の情報量の5000年分の情報が、1年間に生み出されていることを皆さんはご存知でしたか。情報の溢れる時代においては、情報を取捨選択する能力がより重要になります。また、情報を価値に転換する力が求められます。

すでに起きている新しい時代のうねりとして、2つ事例をあげておきます。一つは、社会起業家の流れ、そして、もうひとつは商業主義を超えた新しい経済活動の出現です。

最初の事例は、バングラディシュのグラミン銀行の創立者で、2006年にノーベル平和賞を受賞されたムハメド・ユヌス氏のお話です。ユヌス氏は、経済学者です。「なぜ、経済学を教えているのに、道には貧しい人たちがいるのか」という矛盾を解決するために、彼は、教室の外へ出ます。そして、貧しい人たちの生活が変わらないのは、働く意欲がないからではなく、原材料を買う7ドルのお金がないからだということを知ります。そして、施しではない、自立を促す仕組みとしてマイクロクレジットという新しい金融システムを作り上げます。今日では、世界中に、マイクロクレジットは広がっています。

2つ目の事例は、「邪悪(商業主義)にならない」を信念に持ち、検索の進化を追求するグーグルです。それまでの検索は、テレビコマーシャル同様に、検索結果のランクをお金で買うことができました。しかし、これは、商業主義的発想。「検索結果は、情報の提供者ではなく、情報の検索者にとって最良であるべき」であるという信念を守り、創業から約10年で、2兆円規模のビジネスを作り上げました。日本からも、グラミン銀行やグーグルのように社会的インパクトを与えるイノベーションを実現してくれる若者が出現してくれることを願っています。

日本の人口は、2050年に、約9200万人にまで縮小すると予測されています。もし、工業化社会的なモノづくりに興味・関心を持っているのであれば、これからは、活躍の機会は中国やインドなどの新興国により多くあるでしょう。その場合には、英語や中国語などの第2言語を使いこなせる力が求められます。また、多様性の中で、他者および自分を生かす力も問われるでしょう。

グローバルに目を向けると、環境問題、人口問題、エネルギー問題などの社会問題の解決が大きなテーマです。これらの問題は、一人の専門家で解決することはできません。政治、経済、医療、教育など、多様な専門性を融合させ、問題解決を行う必要があります。社会問題の解決に取り組みたいのであれば、リーダーシップや対話力など、専門性に加えて、チームに貢献する力が求められるでしょう。

倫理観の重要性にも触れておきたいと思います。自由競争社会において、競争優位性や成長のために、あるいは存続のため、リーダーは、あらゆる選択肢の中から、決断することを求められます。その時に、重要になるのが倫理観であり、社会貢献や存在意義の明確化です。これまでお話してきたことは、教育の多様化や自由化、あるいは、個人主義の奨励のように聞こえるかもしれませんが、選択の自由が広がった分、学校における人の道の教育はより重要なものになっていくのではないかと思います。

新しい教育がなぜ求められるのかをお話させていただきました。最後に、一つだけ、確信を持ちお伝えできることがあります。それは、変化の激しい時代において生き延びるためには、「学び続けることのできる人」でなければならないということです。

皆さんも、ぜひ、目の前にいる子どもたちが社会に出る5年後、10年後の時代に思いを巡らしてください。そして、チャンスがあれば、少しでも、人生を生きる準備を万全にするための学習を提供してもらいたいと思います。

未来を生きる力を育む

2000年のOECDの報告書、PISAの序文に、以下の通り書かれています。

How well are young adults prepared to meet the challenges of the future? Are they able to analyse, reason and communicate their ideas effectively? Do they have the capacity to continue learning throughout life? Parents, students, the public and those who run education systems need to know the answers to these questions.

若い成人が未来の挑戦に対処すべく、果たして充分に準備されているだろうか。彼らは分析し、推論し、自分の考えを意思疎通できるであろうか。彼らは生涯を通しての学習を継続できる能力を身につけているだろうか。父母、生徒、広く国民、そして教育システムを運用する人々は、こうした疑問に対して解答を知っておく必要がある。

子どもたちが、潜在的な可能性を伸ばし、世の中に貢献するために必要な能力を身につけ、豊かで幸せな人生を生きて欲しいと願っています。そのために、子どもたちが身につけなければならない力は何かという問いに対する答えを探しています。

この問いに対するヒントとなるアイディアや考え方を紹介します。

グラミン銀行創設者 ムハマド・ユヌス氏

バングラディシュのグラミン銀行の創設者であり、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏のビデオ出演の講演を聞きました。
SoL第3回ワールドカンフェレンス、2008.4.13~17 @オマーン

 

  • 「7ドルあれば借金が返済でき自由を得ることができる人々がいた。解決策はシンプルだった。通常の銀行の逆発想をやればよかった。私たちは、お金のない人々にお金を貸し、弁護士は使わず、女性にも貸した。その90%以上が返済されている。チャリティは一度で終わるが、金融サービスというソーシャルビジネスにすることで、ビジネスとして継続的に価値を提供できる。私たちには、子供たちにとってより安全で住みやすい地球にする責任がある。」
  • ユヌス氏が、グラミン銀行の成功により確立した新たな金融サービスの手法は、マイクロクレジットと呼ばれ、現在、アメリカやフランスをはじめ世界約60カ国で実践されているそうです。
     

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SoL Global Forum

2008年4月13日より4日間オマーンにて開催された第3回SoL Global Forumに参加しました
http://www.solonline.org/events/GlobalForum2008Public/

SoL(Society for Organizational Learning)は、1991年にマサチューセッツ工科大学にて、スタートした組織学習センターの取組みを継続する形で、1997年4月にピーター・センゲ教授により創設された組織です。現在、SoLは、人々・組織・コミュニティの相互発展のために、組織学習の理論と実践についての研究や、現実社会への適用を目的とし、その活動は世界中に広がっています。
第3回Global Forumのテーマは、Bridging the Gulf ~Learning Across Organizations, Sectors, Cultures~でした。グローバルに存在するキャズム(亀裂)への対処に、組織学習を生かすことがテーマでした。このような背景から、中東の地が開催地として選ばれたそうです。組織学習は、もはや企業の存続のためではなく、地球の存続のために、営利団体、非営利団体、政府機関、教育機関、コミュニティなど多様な組織が、対話により、相互理解を深め、メンタルモデル注1)やシステム思考注2)を生かし、問題解決を促すことを狙いとしました。

【南アフリカのMont Fleur シナリオ】
南アフリカの民主化のための対話をファシリテートしたアダム・カヘン氏も、Global Forumに参加し、講演をしてくれました。
組織学習の手法を、社会的な亀裂に応用し、成功した代表例が、1992年のMont Fleur シナリオです。Mont Fleurは、南アフリカケープタウンから約30分離れた街の地名です。1992年Mont Fleurに、南アフリカを代表するリーダーたちが集まり、南アフリカの未来についての対話を持ちました。この対話をファシリテートしたのが、ロイヤル・ダッチ・シェルにおいてシナリオライティングを行っていたAdam Kahane氏でした。Mont Fleurに集まったのは、政治家、経済学者、労働組合、財界人など多様な領域のリーダーたち22名です。メンタルモデルの違う人々が、同じテーブルにつき、南アフリカの未来について話し合った結果、完成したのが、以下のMont Fleurの4つのシナリオです。

【アダム・カヘン氏】
世界的な紛争ファシリテーター。1990年代にロイヤルダッチシェル社においてシナリオプラニングに従事し、チームの責任者として活躍した、シナリオプラニングの権威。SoL活動の実践家であり、U理論の実践者。ロイヤルダッチシェル社でのノウハウを応用して、南アフリカがアパルトヘイトから民主化を実現するためのダイヤローグをファシリテートした。南アフリカの成功体験をもとに、その後、世界の50カ国以上の国々で、複雑な社会問題を解決するためのコンサルタントとして活躍中。

◆Mont Fleurの4つのシナリオ◆
1. Ostrich【ダチョウ・現実逃避者】:アパルトヘイトの持続
2. Lame Duck【破産者】:弱い政府によるスローで決断力のない変革の推進
3. Icarus【イカロス】:民衆中心主義の政府による急激な変革政策の推進と経済の破綻
4. Flight of the Flamingos【フラミンゴの飛行】:成長と民主化を共に実現する持続可能な政府の政策

リーダーたちは、未来が、4番目のFlight of the Flamingosのシナリオのようになることを望み、その実現のために何をするべきかを話し合い、シナリオの実現に向けての活動が始まりました。Mount Fleurシナリオの完成した2年後の1994年、全人種参加の総選挙が実施され、ANCが勝利し、マンデラ議長が大統領に就任しました。こうして、誰も想像し得なかった流血なき民主化の流れが作り上げられたのです。
Mount Fleurの成功事例は、キャズムに直面している多くの人々に勇気を与えたようです。世界中の対立や紛争の解決や、地球の存続という複雑な問題に対しても、システム思考やシナリオライティング、ストーリーテリング、ダイアログといった組織学習の手法が有効に活用されることを大いに期待します。

【ELIAS 新たなリーダー育成プログラム@MIT】
ピーター・センゲ教授は、MITにおいてELIAS(Emerging Leaders Innovate Across Sectors)という30代を対象としたリーダー育成プログラムをスタートさせています。ELIASは、地球の継続的な発展を支えるリーダーとして、多様な立場や役割の人々を巻き込み、創造的に問題解決を推進する力を養成するためのプログラムです。第1期生には、インドネシアや南アフリカからの参加者もおり、実際に、組織学習の手法を使い、国内の問題解決のための活動を行っているという報告がありました。今後は、日本からも参加者が出ることを大いに期待したいです。

【グラミン銀行創設者 ムハメド・ユヌス氏】
バングラディシュのグラミン銀行の創設者であり、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏も、ビデオ出演で講演を行ってくれました。ユヌス氏は語りました。「7ドルあれば借金が返済でき自由を得ることができる人々がいた。解決策はシンプルだった。通常の銀行の逆発想をやればよかった。私たちは、お金のない人々にお金を貸し、弁護士は使わず、女性にも貸した。その90%以上が返済されている。チャリティは一度で終わるが、金融サービスというソーシャルビジネスにすることで、ビジネスとして継続的に価値を提供できる。私たには、子供たちにとってより安全で住みやすい地球にする責任がある。」
ユヌス氏が、グラミン銀行の成功により確立した新たな金融サービスの手法は、マイクロクレジットと呼ばれ、現在、アメリカやフランスをはじめ世界約60カ国で実践されているそうです。

【SoL Global Forum参加者のメンタルモデル】
どうありたいかのシナリオを描き、そのシナリオを実現するために、システム思考を用い、多様な人々の考えを理解するために、メンタルモデルを活用し、対話を通じてチーム学習を行うことができれば、企業変革も、地球上の対立や紛争、複雑な問題への対処も可能であるということを、ピーター・センゲ教授をはじめとするSoL コミュニティの人々は、確信し、行動していたのが、とても印象的でした。

【地球規模での対話】
オマーンという地で開催されたということもあり、米国からの参加者は比較的少なく、オマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イスラエル、ノルウェー、フィンランド、フランス、スペイン、オランダ、南アフリカ、インドネシアなど世界中から集まった人々との対話を通じて明らかになったことは、世界は、我々日本人が想像する以上に小さくなっているということです。システム思考が示すとおり、我々一人ひとりの考えや行動が、地球、あるいは、地球上のどこかに暮らす人々に、何らかの影響を与えているということです。そして、これからは、無意識の行動ではなく、意識的な働きかけが求められる時代となります。そのような時代には、地球規模で、相互理解のための対話が求められます。

SoL Global Forum参加者の半数以上は、英語以外の言語を話す人達でしたが、対話には、英語が使われました。英語は、地球語でした。今後は、地球人として英語を話さないということは、地球に貢献することを放棄していることを意味する、そんな時代となるでしょう。

注1) メンタルモデル・・・物事の見方や行動に大きく影響を与える固定観念や暗黙の前提
注2) システム思考・・・独立した事象に目を奪われずに各要素間の相互依存性、相互関連性に着目し、 全体像とその動きをとらえる思考方法

 

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