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2026.01.21文部科学教育通信掲載
直近の 文部科学省 の調査によると、2024年度における 小・中学校の不登校児童生徒数は 35万3,970人 に達し、過去最多を記録しました。これは前年度の 34万6,482人から 7,488人増、12年連続の増加となっています。学校種別に見ると、小学校では 13万7,704人、中学校では 21万6,266人 が不登校だったと報告されています。どちらも過去最多の水準となっています。
全児童生徒に占める割合としては、小中学校あわせて約 3.9%。児童生徒1000人あたり約 38.6人 が「年間30日以上登校しなかった」不登校という状態になっていたことになります。また、年間の欠席日数が90日以上の児童生徒は19万1958人で、不登校全体の半数を超え、54.2%を占めます。不登校を含む「長期欠席者」の数も膨らんでおり、小中学校の長期欠席者はおおよそ 49万3千人。これは不登校に限らず、何らかの理由で長期間学校を欠席している子どもたちです。
高校生についても無関係ではなく、2024年度の不登校生徒数は 約6万7,782人。小中高を合計すれば、不登校・長期欠席を含む子ども・生徒の数は 42万を超えると報告する報道もあります。
こうしたデータから、不登校はもはや少数の特殊なケースではなく、「全国規模・社会全体で広がる教育上の重要な課題」と言えます。教育関係者は、多くの子どもたちから、学校を居場所と感じることができない、学校以外の居場所を選択したいと考える事実を真摯に受け止め、学校そのものを見直す必要があるのではないかと考えます。同時に、義務教育の社会的存在理由である、すべての子どもたちの学力を保障すること、すべての子どもたちの社会で生きる力を育むことが困難になっている事実にも、真摯に向き合わなければなりません。不登校が課題ではなく、子どもたちに選ばれない学校教育に課題があると考える必要があります。
不登校の背景と複合的要因
不登校の増加には、さまざまな背景や要因が複雑に絡み合っています。従来から指摘されてきた「いじめ」「対人関係」「学校生活のストレス」「学業不振」「教師やクラスとの相性」などの学校内の人間関係・環境による要因に加え、近年では「生活リズムの乱れ」「不安・抑うつ」「やる気の低下」といった心理的・心身的な問題を挙げる報告が増えています。たとえば、文科省の調査では、不登校の児童生徒のうち、「やる気が出ない等の相談」が最多(約30.1%)、「生活リズムの不調」(25.0%)、「不安・抑うつ」(24.3%)、「学業不振・宿題未提出」(15.6%)、「友人関係の問題(いじめ以外)」(13.2%)と続いています。また、近年は特に小学校低学年から不登校になるケースが目立っており、「子どもが小さいうちから“学校適応”に苦しむ」状況が広がっているようです。 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響やそれに伴う生活様式・学び方の変化、「登校を無理に強制しない」「多様な学び方を認める」といった風潮の変化も、不登校の増加・多様化に影響を与えていると指摘されてきました。
このような現実を踏まえ、学校や自治体、教育関係者は、「不登校=問題行動」と捉える従来の見方は見直されつつあり、不登校を一律否定するべきものと捉えるのではなく、子どもの状態や背景を丁寧に見るべき「サイン」「状態」と捉える動きが広まっています。
不登校の「見えにくさ」と「支援の広がり」
不登校が増えている一方で、すべてのケースが学校や関係機関に把握されているわけではありません。
長期欠席者全体でみても、不登校として認知された人数はその一部にすぎず、実際にはもっと多くの「学校から離れている子どもたち」がいる可能性があります。また、調査上の「不登校」に該当しなくても、たびたび「行き渋り」を繰り返す子ども、「週に数日しか登校できない」子どもなど、“登校と不登校のあいだ”にある状態の子どもも多数存在します。こうした「グレーゾーン」は、学校や支援機関の目に付きにくく、支援が届きにくいという問題があります。
一方で、社会や行政の対応も変化しつつあります。最近は、必ずしも「学校復帰=ゴール」とせず、「多様な学びの場」や「子どものペースを尊重した学び方」を認める方向が強まっています。たとえば、訪問型支援、フリースクール、通信教育、オンライン学習、適応指導教室など、学校以外の選択肢が広がってきています。 また、子どもだけでなくその家族への支援、あるいは学校・地域・福祉・医療が連携する体制づくりも、徐々にではありますが進んでいます。子どもの心身の状態に配慮しながら、無理せず通える/学べる環境を整える動きが広がりつつあります。ただし、「地域差」「情報の不足」「支援の受け皿の偏り」「保護者の孤立」といった課題も根強く残っています。
不登校の背景にある「子どもの声」と、教育の問い直し
不登校は、多くの場合、子ども自身からの小さな、しかし重大なサインです。「学校がしんどい」「人間関係がつらい」「学校のペースについていけない」「不安や焦りがある」「自分らしくいられない」――。それらを抱えたまま、子どもは登校できなくなることがあります。
また、保護者も「自分たちの育て方が悪かったのか」「将来が不安」「学校に戻れなければ…」と、自責や焦り、不安を感じやすく、周囲に相談できず孤立するケースも少なくありません。
いま、私たち社会全体が問われています。「学校とは何か」「教育とは何か」「子どもの“普通”とは何か」。そして、「多様な学び」「多様な子どものあり方」をどう受け止め、支えられるか。
不登校の増加は、子ども個人の問題ではなく、教育制度や社会のあり方全体を見直すきっかけだと言えるでしょう。子ども一人ひとりが安心して学び、生きられる社会の構築が求められています。
多様性を包摂する学校
日本の学校は、全国一律一定の質の教育を維持することに重きを置いてきました。そのため、日本中、どの学校に転校しても、子どもたちが授業の内容の違いに、戸惑うことは少なかったと思います。一方で、この仕組みには、子どもたちの多様性という概念は含まれていませんでした。同じ教育を平等に子どもたちに提供することで、すべての子どもたちが同じように学ぶことができるという前提に立っていました。このあり方を見直さない限り、今後不登校はますます増えていくのではないかと思います。
先生 平等から公平へ
平等とは、すべての子どもに同じ指導、同じ教材、同じ評価基準を適用することです。見かけ上は公正に見えますが、子どもたちは発達段階や特性、生活環境が異なるため、同じ支援では力を十分に発揮できない場合があります。
公平とは、子ども一人ひとりの違いを理解し、必要に応じて支援や学び方を調整することです。学習のペース、必要なサポート、評価方法を柔軟に変えることで、どの子どもも学びにアクセスできるようにする考え方です。
子どもたち 受け身から自律へ
そのために、先生は、責任の一部を手放し、子どもたちに選択する機会を提供することが大切になります。例えば、同じ授業の中でも、解く問題を子どもたちが選べるように何種類か用意し、選択を子どもたちに任せます。子どもたちは、自分に合った教材を選択する力を高めるとともに、自分の学びに責任を持つことができます。授業内容によっては、子どもたちに選択肢を提案してもらうことも可能です。