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2026.6.8
教育の未来
すべての子どもたちのための教育とは(前半)
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2026.01.26文部科学教育通信掲載

教育政策アドバイザーをしている静岡市の総合教育会議でお話する機会を頂きました。その内容を2回に分けて紹介したいと思います。

背景説明

私は、2009年に教員養成を行う日本で初めての教職大学院の責任者になりました。それまでは、企業変革、新規事業の立ち上げなどを行い、リーダーシップやアントレプレナーシップの養成にも力を注いでおりました。大人の教育には従事していました。大学院の建学の精神が「次代の教育を創る」でしたので、「次代の教育とは何か」を理解するための探究を始めました。

調べていくと、OECDがすでに2003年に新しい教育指針を提示しており、また、アメリカでは同時期に、アップルやマイクロソフト等のIT企業が、パートナーシップ・フォー21センチュリー・スキルという団体を立ち上げ、教育指針を打ち出していました。また、2011年からは、ハーバード教育大学院が、学習の未来研究会を立ち上げたので、数年にわたって研究会に参加しました。また、世界で一番幸せな国オランダにも教育視察に訪れました。

市民活動としては、未来教育会議を立ち上げ、オランダ、デンマーク、ドイツ等を訪問し、様々な教育関係者と対話を繰り返し、日本における教育の未来の姿を浮き彫りにする活動も行いました。また、アメリカの教育NPOの日本版を立ち上げる活動にもボランティアとして参画し、子どもの貧困問題にも関わりました。

現在は、大人にリフレクションと対話(学校教育における主体的・対話的な深い学び)を広める活動をしています。教育課題を探究した結果、子どもは今日にでも変われる。しかし周囲の大人が変われないことが課題という結論に至ったためです。

本日の会議のテーマでもあります幼保小連携と不登校、多様性の包摂の3点についてお話致しますが、本日皆さんに一番伝えたいメッセージは、「子どものどんなニーズが満たされていないことが課題なのか」と課題を子どもの立場から捉え直した上で課題解決に臨むことです。幼保小連携、不登校も、子どものニーズが満たされていないことが根本原因であると感じるからです。

 

幼小接続

幼小接続の課題を、「子どものどんなニーズが満たされていなのか」という問いから考えた時に、最初に頭に浮かんだのは、子どもたちが直面する変化と戸惑いです。代表的なものが6つあるのではないかと思います。

1)園の最上位から、小学校の底辺への移行

年長さんとして誇りをもって過ごしていた子どもたちは、小学校に入学すると、一年生という底辺に位置づけられ、先生からも、子ども扱いされます。本人も、6年生に比べると、自分は一人前ではないと感じることもあるかもしれません。

2)時間割のある生活

時間割で縛られた生活を強いられます。

3)机に向かって勉強

椅子に座り、長い間じっとしていなければなりません。

4)興味関心ではなく、教科書が起点

これまでは、自分の興味関心に従って探究を行っていた子どもたちは、教科書や先生の指導に沿って学ぶことになります。

5)先生との関係も、生活から授業に移行

これまでは、先生とも個別にたくさんお話ができたのに、小学校では、授業を通しての先生とのコミュニケーションが中心になります。

6)お友達と遊ぶ時間

お友達と遊ぶ時間も少なくなり、お友だちとのかかわりも授業が中心になります。

こんな変化が、突然やってくることで戸惑いがあるのは自然なことではないかと思います。

例えば、オランダでは、年中さんから、今日の遊び計画を立てて遊んでいます。小学校での学習の形式に慣れるために、年中さんから計画に基づく行動を練習しているのだそうです。

 

子どもの発達

子どもは、4,5歳で人生で最も大きな成長を遂げた後に小学校に入学しています。なぜ、何の目的で、どんな良いことにつながるから、この変化なのかを、子どもたちに説明すれば理解できるのではないかと思います。もし、子どもが課題を感じるのであれば、対話をし課題解決の方法を一緒に考えることもできます。

発達理論に基づくと、小学6年生は、遂行能力では、成人とそう変わらない発達を遂げています。しかし、私たちは、小学6年生をそのような眼差しで見ていないのではないかとも思います。

養育環境は個々の特性に起因する発達の遅れについては、幼保小の連携が大事です。5歳児検診が始まり、そのデータ共有の仕組みを構築しようという議論が始まっていることはとても良いことだと思います。

 

小学生になる準備

オランダの子どもたちが小学生になるためにどのような準備をしているかもご紹介したいと思います。オランダ人は、真の民主性は対立に基づくと考えており、子どもたちにも、自分の意見を持つことを求めます。このため、子どもたちは、意見が違ってもお友だちでよいことを繰り返し学びます。対話の習慣も大切にしており、意見や気持ちは、必ず理由を添えて伝え、聴き合うことが約束です。また、感情をメタ認知し、言語化する練習や、相手の気持ちに共感する練習、怒りをコントロールする練習も行っています。このような練習を経て、対立をしたら、話し合う練習もしています。いやな時には「嫌だ。やめて」といい、そういわれたらどんなに楽しくてもやめる。そして、気持ちを落ち着かせて、話し合うことを約束にしています。

小学生になると、「参加の階段」を子どもたちに教えて、状況に合わせて、児童と先生の役割認識を揃えながら、子どもたちの主体性を育んでいます。

先生用の「参加の階段」に、過保護を加えたのは私です。日本の先生の多くは過保護だからです。保育園でも、けんかの仲介をする際に、「〇〇ちゃんがこういっているよ、どうする?」 などと、先生がお友達のメッセージを丁寧に翻訳し、問題解決まで引き受けてしまいます。

これをやっていると、小学生になって、先生が傍にいないと、自分の問題を解決できない状態になります。何事も練習が大事だと言えます。

後半では、不登校、多様性の包摂について講演内容を紹介致します。