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地域が変わる、ミライを変える

2024.04.04文部科学教育通信掲載

地域が変わる、ミライを変える 教育Reformセッション 「ENGINE」というイベントに登壇し、教育に関わっている方、関わっていない方関係なく、どのような世代・所属の方も、教育に関心を持つ方が「繋がり合い、一歩踏み出す」、そんな場がENGINEです。

ENGINEでは、ゲストや講師の方から情報を得るだけではなく、参加者と一緒に、教育に関するご自身の活動や想いを語り合っていただく時間も設けています。それぞれのフィールドでこれからの教育をどう良くしていくか、参加者全員で考えていきます。

ENGINEが、参加者の皆様にとって活動を加速させるきっかけの場、活動を始めるための一歩を踏み出す場になることを願い、対話についてお話しいたしました。

 

A:地域に根ざしたキャリア教育の仕組みづくり〜区長としての挑戦〜

大阪市港区長 山口 照美さん

B:第三の居場所が持つ機能~多様な関係先との協働・連携からみえたもの~

NPO法人coconi代表水木 千代美さん

C:「企業だからこそできる教育」 ~企業のキモチって?~

ロート製㈱広報 徳永 達志さん

D:キャリア教育×探究を核としたカリキュラム作りの挑戦

立命館宇治中学・高等学校教諭 酒井 淳平さん

E: 子どもたち一人ひとりが輝く学びの機会の創出~企業・学校・行政の可能性~

大阪府教育庁 市町村教育室 室長 桝田千佳さん

F:〈教育×地域〉コーディネーターの地域における役割

㈱しまのみらい 代表取締役 取釜 宏行さん

G:未来スクールの挑戦~中学校と地域の連携による持続可能な探求型教育プログラムの構築~

未来スクール 代表 山本 理恵さん

H:「経験価値教育」を通じて地域とつながる「園田学園」の取り組み

園田学園女子大学 学長 大江 篤さん

 

クワトロヘリックス

講演では、ヨーロッパでの実践事例として、クワトロヘリックスという概念を紹介しました。クワトロヘリックスは、市民、大学、企業、行政の4つのステイクホルダーが、一つの目的を実現するために、連携し、共創する状態のことです。4つの関係者が、螺旋のように、進化、変容を遂げながら、一つの目標を実現することが可能であるという考え方は、ヨーロッパでは、EUの実現によって、確信に変わったと伺いました。

 

日本では、多様なステイクホルダーが集まると、総論賛成、各論反対の状態に陥ることが多く、共創に向かうことが困難になる経験を、私以外にも、多くの人々がしているのではないかと思います。

 

なぜリフレクションと対話か

リフレクションと対話は、利害を乗り越えるための手段として欠かせないものです。現状を変えるためには、誰もが、自らのものの見方を変えることを迫られます。しかし、リフレクションができない人は、自分の考えを変えようとせずに、他人の考えを変えようとします。誰もが、他人の考えを変えようとするのですが、自分の考えを変えようとする人は一人もいない状態では、変化が生まれることはありません。

リフレクションをしながら、対話を通して、誰もがものの見方を変えるプロセスの中で、目的も形作られていきます。「何を実現したいのか、なぜなのか」 例えば、時代に合った教育を実現したいという思いは一緒でも、STEAMに関心があるのか、キャリア教育なのか、デジタル教育なのか、あるいはシチズンシップ教育なのか、色々な可能性があります。

 

対立の先に見えた調和

私自身、15年ほど前に、教育を変える活動を始めた頃に、「教育の未来を変えるワークショップ」を企画運営し、とても苦労した経験があります。教育にとても熱い思いをもった素晴らしいメンバーが50人くらい集まり、ワークショップを行いました。ところが、それぞれの思いがアツすぎて、みんなが自分の教育に対する課題感や思いをぶつけ合う場になってしまい、収集がつかなくなりました。メンバーの中には、隠岐島前高校に関わった人たちや、カタリバの創業メンバーなどもいらして、その後、大活躍されていますから、思いが熱いのは当然です。

講演会では、この時のお話をしました。誰もが主張ばかりしていて、何も、合意形成ができないように思ったのですが、幸いにも、私には、リフレクションと対話という武器がありました。そこで、一生懸命、みんなの話を、意見のみではなく、その背景にある経験、感情、価値観で聞き取ることに挑戦しました。その結果、2つの大事な普遍的な事柄が見えてきました。

 

教育を変えたい人のメンタルモデル

ワークショプには、教育を変えたいと思うメンバーが集まっていたのですが、その背景は、3つに分類されることがわかりました。提案している教育のアイディアは、バラバラですが、背景を理解すると、理由は3つに集約されました。

①自分が受けてよかったと思うこと

②自分が受けて残念だと思うこと

③自分が、社会に出て学んだことで、学校で教わっておけばよかったと思うこと

私の場合は、②、③が理由です。当時は、まだ、海外の教育情報が広まっていなかったのですが、今では、4つ目の理由として、海外の教育を知り、日本でも広めたい という人も多いのではないかと思います。

私自身も、オランダのシチズンシップ教育に魅了され、ピースフルスクールプログラムを幼児向け、小学生向けに広める活動に従事しています。

 

思いは一つ!

もう一つ、リフレクションと対話を繰り返したことで、嬉しい発見がありました。みんなの意見は、全く一致せず、一緒に話をする意味があるのかと思うこともありましたが、傾聴を繰り返し結果、みんなの思いは一つだということに気づきました。

手段や活動内容は多様ですが、誰もが願っていたのは、「子どもたちに幸せな人生を生きて欲しい」ということでした。そのために、教育をなんとかしたいと思っていることに気づけると、対立しているかのように見える場所にいることも、それほど苦しくなくなりました。

このワークショップは、私の人生の中でも、最も大変なワークショップという思い出ですが、本物の対話を体験したと思えるワークショップでもあります。

 

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