「脳内整理」のための内省のルーティン
文部科学教育通信 2022.10.24掲載
大人たちがずっと学び続けるための生放送 スクーの授業に、3回シリーズで登壇しています。今週のテーマは、朝のリフレクションの習慣についてです。
“みんなで学べる”スクー
スクーは、“みんなで学べる”ライブ動画学習サービスです。講義には、受講生の代表として、アナウンサーが参加し、全体の進行だけではなく、受講生の一人として授業に参加します。講師と受講生代表が、時々、対話を行いながら、生放送に参加している受講生と一緒に、学んで行くスタイルなので、“みんなで学べる”仕組みになっています。
オンラインから参加している皆さんも、質問や意見、気づきなどを自由に投げかけることができ、よい意見には、「いいね」を伝えられるので、受講生同士も、メッセージを伝え合うことができます。
講師も、受講生代表からの質問に答えたり、受講生代表が、オンライン上から参加した人たちの質問を選び、代読してくれるので、オンラインでし参加している人ともインタラクティブな対話を行うことができます。受講生の顔は、見えませんが、みんなの書き込みから、なんとなくお人柄や生活スタイルなどが伝わってくるので、みんなと一緒に講義を進めているという感覚になります。
朝のリフレクション
リフレクションをテーマにした3回シリーズでは、頭がごちゃごちゃしてすぐに行き詰まり易いと感じている人や、内省の基本となるルーティンを習慣化したい人を対象に講義を企画しました。
朝のリフレクションでは、自己のモチベーションを高めることができるようになることをゴールにしました。自分の心に火をつけることができると、楽しく、前向きに一日を過ごすことができます。
リフレクションとは
自己の内面を客観的かつ批判的に振り返る行為です。リフレクションを行うことで、物事に対して、これまで通りのやり方や、ものの見方をそのまま適応するのではなく、批判的スタンスで、経験から学び、考えることが狩野になります。批判的という言葉は、多面的多角的に考えるという意味で使っています。
自分の心に火をつけるために
自分の心に火をつけるために、パーパスとビジョンを持つ習慣がお薦めです。
パーパスとビジョンを持つための問い
- ビジョン
- 何を実現したいですか。
- いつ頃までに、実現したいですか。
- それが実現した姿を具体的にイメージすると?
- その姿を、成功の評価軸で表すと?
- パーパス
- どんな存在でありたいですか。
- 誰に、どんな価値を提供する存在でありたいですか。
- あなたが人生を通して実現したいことは何でしょう。
(一番、答えやすい問いを選び、お答えください)
認知の4点セット
パーパスとビジョンを持つためには、問いについてリフレクションを行います。そのために使用するのが、認知の4点セットです。
自分がどう思っているのか について、それはなぜかを自分に問いかけます。
なぜそう思うのか の問いに、3つの視点で答えることで、自分の考えがどこからやってきたのか が解ります。1つ目は、経験です。意見の背景には、必ず、経験を通して知っていることが紐づいています。経験には、実体験も、誰から教わったことも、本で読んだことも、テレビで見たことも、すべて含まれます。2つ目は、経験に紐付く感情です。経験の記憶は、感情と紐づいているので、意見の背景には、ポジティブかネガティブいずれかの感情が存在しています。そして、3つ目は、意見を支えている価値観やものの見方です。これは、判断の尺度とも言えます。
自分が何を考えているのか、なぜそう考えるのかを確かめるために、意見、経験、感情、価値観の4つの視点で、リフレクションを行います。
ビジョン形成のためのリフレクション(事例)
意見:何を実現したいのか。
リフレクションが日本の当たり前になること!
経験と感情:どんな経験と感情が、その意見の背景にあるのか。
前例に縛られずに、多面的多角的に考えたり、多様性から学ぶことができる人は、リフレクションが上手です。リフレクションが上手な人と一緒に仕事をすると、よい変化を創る活動がとても簡単で、楽しいです。
価値観:何を大切にしているから、そう考えるのか。
一人ひとりの潜在能力が開花すること。
この事例では、リフレクションを広めたい理由は、一人ひとりの潜在能力が開花することに喜びを感じるからだということが解ります。
動機の源とクリエイティブテンション
ビジョンを形成するためのリフレクションを行うと、自分が何を大切にしているのかを知ることができます。先の事例では、「一人ひとりの潜在能力が開花すること」に喜びを感じるので、そのために必要なリフレクションを広めたいと考えていることが解ります。
この大切にしている価値観のことを、動機の源と呼びます。動機の源は、自分のモチベーションが上がる理由、自分を突き動かす大切な価値観です。動機の源は、誰もが持っているのですが、多くの場合、無意識に活用していることが多いです。
リフレクションを行うことで、自分の内面を見つめ、内発的動機の源泉である大切な価値観を見つけると、比較的簡単に自分の心に火を付けることが可能になります。
自分が大切にしている価値観とつながる目的をもった時、人の能力は最大化すると言われています。この状態を、クリエイティブテンションと呼びます。クリエイティブテンションは、現状とありたい姿のギャップを埋めたいと強く思う内発的動機を持っている状態のことです。
リフレクションを通して自分の動機の源を知ることと、クリエイティブテンションを高めることができるビジョンを持つことは、自分の心に火を付けるために欠かせない行為です。
今日のビジョン
リフレクションを通して、中長期的に実現したいビジョンを持ち、日々を過ごすことができれば、「今日のビジョン」も、簡単に作成することができます。
中長期的に実現したいビジョンを持っていない人には、カレンダーを眺めて、今日一日を予測し、今日のビジョンを考えることもお薦めです。この際にも、認知の4点セットで自分に尋ねてみてください。
意見:今日のビジョンはなんだろう?
経験:そのビジョンのアイディアは、どのような経験に紐づくアイディアなのか?
感情:その経験には、どんな感情が紐づいているのか?
価値観:私は何を大切にしているから、そう思うだろうか?
認知の4点セットを活用することで、感情や価値観に意識を向けることができるようになると、多面的、多角的に考える力が高まります。
私達が、何かの意見に縛られるときには、その意見に確信を持つ理由があります。その理由が、過去の経験、感情、価値観だからです。自分の内面をリフレクションし、自分が何に縛られているのかを俯瞰することができれば、多面的、多角的に物事を捉えることも可能になります。しかし、自分の内面を見つめることができないと、自分の考えを分析することもできないので、自分の意見に縛られている状態を変えることはできません。
感謝のルーティン
幸せな気持ちで、朝をスタートするために、もう一つのお薦めが、感謝のルーティンです。
感謝したいことを3つ書き出し、その中の一つについてリフレクションします。
感謝のリフレクションも、その意見の背景にある経験、感情、価値観を見つめることで、自分の心を幸せにすることが可能になります。
感謝のリフレクションは、勿論、朝以外にもいつでも行っていただけます。