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隠岐島前高校ではじまるリフレクションの実践

文部科学教育通信掲載 2022.4.25

総生徒数158人の内、90名が留学生という隠岐島前高校で、2021年3月からリフレクションの実践が始まりました。3月に、隠岐島前高校を訪れ、2年生、3年生と、先生たちに、書籍で紹介しているリフレクションの手法を紹介する機会を頂きました。1月から準備を重ね、実際に、生徒の皆さんの1年間の夢探求活動の振り返りを支援できて、とても楽しく、学びの多い時間でした。

 

高校魅力化

隠岐島前高校には、高校魅力化コーディネーターという制度があります。また、高校と連携した公営塾 隠岐國学習センターがあります。1月に開始した準備には、コーディネーターの山野 靖暁さん、学習センター長の竹内俊博さん、元コーディネーターであり現在は、地域・教育魅力化プラットフォームに所属されている奥田麻衣子さんが参加してくれました。オンラインでは、先生版ワークショップ、生徒版ワークショップを実施し、全生徒と一緒にリフレクションを行うための準備を行いました。

これまでも、たくさんの学校現場で活動をさせていただいた経験がありますが、今回のように、生徒の近くにいる教育関係者とじっくりと準備を進めた経験がありません。コーディネーターの学習センターの存在は、とても貴重な仕組みです。

隠岐島前高校は、90名の生徒が、島の外から留学しているとてもユニークな学校ですが、校長や先生の移動は、他の県内の学校と同じような仕組みで動いています。校長も、先生も、移動があるため、理念と特徴のある教育を定着させ、島留学生の包括的ケアを行うためには、コーディネーター、学習センター、寮マスターの存在が欠かせません。同時に、彼らと先生たちが上手に連携して、教育を創り上げているところがとても魅力的です。

4月からスタートする新学科「地域共創科」での探究活動に、リフレクションの実践が加わることで、仮説検証の質が高まり、活動の質にもよい効果が出るのではないかと期待しています。また、生徒が、自らの動機の源泉を見出したり、経験から学び、成長し続けることも、期待しています。

 

生徒は、なぜ振り返るのか

第1回のリフレクションセッションの後、生徒の皆さんに、リフレクションの振り返りを行って頂きました。その一部をご紹介します。大人か顔負けのリフレクションです。

 

【自分を客観視する】

これまでの私は、リフレクションは次にいかすためにするものと考えていた。

今の私は、次にいかすのも大切だけど、今の自分を分析するために必要と考えるようになった。そこで、私は、もっと客観的に自分を見ることに取り組む。

自分を知ること、メタ認知することの大切さに気づいた生徒のリフレクションです。

 

【仮説のアップデート】

これまでの私は、自分と向き合うことと考えていた。

今の私は、無意識であった仮説をしっかり持つように と考えるようになった。

そこで私は、仮説(過去)の自分と今の自分を比較すること に取り組む。

経験から学ぶリフレクションでは、行動の前提には「こうすればうまくいく」という仮説があるということを学びました。その仮説は、過去の経験に基づいています。これまで無意識であった仮説に意識を向けて、仮説の変化を言語化することの大切さに気づいた生徒のリフレクションです。

 

【行動前の仮説】

これまでの私は、失敗を見直すことを振り返りと考えていた。

今の私は、何かをやる前に自分が過去にやった事をリフレクションすることを振り返り と考えるようになった。

そこで私は、自分が何か行動を起こす前に振り返りをすることに取り組む。

無意識に仮説を持って行動していると気づいた生徒が、それはら、行動する前に、仮説の質を検証しようと考えました。リフレクションの習慣が、仮説の質を高め、その結果、行動の質が高まることに気づいた生徒のリフレクションです。

 

【行き詰まった時に】 

これまでの私は、振り返りをするのは面倒くさいし、しても変わらないから意味がない と考えていた。

今の私は、仮説の質をあげるためには振り返ってリフレクションをするのはよい と考えるようになった。

そこで私は、探求活動を進めていく上で行き詰った時に振り返ることに取り組む。

 行き詰まったら、仮説の質を上げるためにリフレクションを行えば良いと気づいた生徒のリフレクションです。

 

【書き出すこと】

これまでの私は、ぼんやりとだが大切なものだ と考えていた。

今の私は、出来事のあとに 頭と心の中にぼんやりと散らばっている学びを次に活かし、まとめるものと考えるようになった。

そこで私は、頭で考えて終わらすに紙に書くことに取り組む。

紙に書いてリフレクションすることで、自分の頭が整理されて、リフレクションからの学びが明確になることに気づいた生徒のリフレクションです。

 

【今の感情を大切に】

これまでの私は、振り返るということは過去の結果から未来につなげるイメージと考えていた。

今の私は、過去と未来を今の自分につなげるイメージと考えるようになった。

そこで私は、リフレクションする時に今の感情を大切にすることに取り組む。

リフレクションは、過去と未来と今の自分をつなげるものと気づいた生徒のリフレクションです。今の感情を大切にするという視点も素敵です。

 

【感情のリフレクション】

これまでの私は、感情を抜きにして振り返ると考えていた。

今の私は、その時の感情や思いも内省する上でとても大切と考えるようになった。

そこで私は、何かをしたから振り返るのではなく、日常の中から内省すべき点を見つける、自分と他人のリフレクションを比べてみることに取り組む。

日常の中から内省すべき点を見つけるために感情が役立つことに気づいた生徒のリフレクションです。

 

【キャリア形成】

これまでの私は、ただ考えて人に聞けば終わると思っていた。なんでもかんでも振り返りすれば良くなるとは限らないと考えていた。

今の私は、書きだしたり、問い次第ですごい学びが得られると考えるようになった。

そこで私は、自分のリフレクションの型を作って、これからのキャリア形成 に取り組む。

すごい学びを得ることができ、自分のリフレクションの型を作ろうと考えた生徒のリフレクションです。

 

【意思を育てる】

これまでの私は、自分のことを客観的に見ることは必要ないと考えていた。

今の私は、どちらもメリットはあるが、客観的にみて創造する方が大切だ と考えるようになった。

そこで私は、何かに取り組もうとする意志を育てることに取り組む。

 リフレクションを通して、ビジョンが形成できることに気づいた生徒のリフレクションです。

 

【落ち込む前に】

これまでの私は、ただ単に今までの振り返りの作業と考えていた。

今の私は、振り返るだけでなく自分自身の気づきを発見したり、感情からくる行動や気持ちの変化を知ることができる作業と考えるようになった。

そこで私は、何かにつまづいてしまった時、落ち込む前にリフレクションをして前に進むバネにすることに取り組む。

リフレクしションを行うと、前進するエネルギーが湧き出ることに気づいた生徒のリフレクションです。

 

先生も生徒から学ぶ

皆さんは、生徒の振り返りから何を学びましたか。皆さんは、なぜリフレクションに取り組みますか。リフレクションの魅力の一つは、先生も生徒から学ぶことができることです。

次回は、先生も、生徒も、素の自分になりリフレクションを共有する教室の様子をご紹介します。

 

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