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社会起業大学

2022.02.28文部科学教育通信掲載

社会起業大学は、2010年に設立された日本初の社会起業家育成に特化したソ-シャルビジネススクールです。600人を超える卒業生が日本各地、世界各地で社会起業家として活躍しています。

学長の林浩喜氏は、商社で活躍されてこられたビジネスパーソンで、米国コーネル大学ホテル経営大学院に留学された後、日本初のベーグル専門店『ベーグル&ベーグル』を創業し、世界第4位のベーグル専門店の育てあげた方です。ビジネスど真ん中で活躍されていた林さんは、御自身の経験や知識を社会に還元したいという思いで、社会起業家大学の学長に就任されました。

社会起業大学のミッションは、『ソ-シャルミッションの普及、社会起業家の育成・支援』、ビジョンは、『卒業生が社会起業家精神を持って活躍し、次世代により良いバトンを渡す世界』です。その前提に、『人がもっとも深い喜びを感じるのは、自分の才能を生かして誰かの役に立った時である』 という思想があります。

1月26日に、学長特別対談でリフレクションをテーマに講演を行う機会を頂きました。講演後には、林学長との対談、参加してくださった皆さんとの対話を行いました。

 

社会起業大学と学びの羅針盤2030

リフレクションは、未来を創造する力です。OECDが2003年に発表したVUCA時代を幸せに生きる子どもたちのための敎育に関するガイドラインで、リフレクションは要であると記載されていることを知り、その重要性を広める活動をはじめました。

OECDの敎育に関するガイドラインも、その前提に、持続可能な社会の発展と、人々の幸福があります。OECDは、その後、このガイドラインを改定し『学びの羅針盤2030』を発表していますが、その前提には、社会企業大学のビジョン『卒業生が社会起業家精神を持って活躍し、次世代により良いバトンを渡す世界』ととても共通する部分があります。

学びの羅針盤2030には、生徒エージェンシーという言葉が登場します。生徒は、よりよい社会を創造する主体であるという考え方です。また、教員も、よりよい社会を創造する主体であり、生徒と教員が共によりよい社会を創造する仲間『共同エージェンシー』として、活動していくことを提唱しています。そこには、教える人、学ぶ人という主従関係はありません。子どもも、大人も、社会の一員として、社会をよりよくするために行動することができるからです。

トランスフォメ-ション

学びの羅針盤2030は、よりよい未来を創造する成人を育むために、トランスフォメーションを実現する力を育むことを目指します。

社会人の敎育に携わる中で、ラーニングには、トランザクションナル・ラーニングと、トランスフォメ-ショナル・ラーニングの2種類があると教わりました。知識の習得を目的とした学びが、トランザクソナル・ラーニングで、ものの見方や価値観の転換を伴う学びが、トランスフォメ-ショナル・ラーニングです。従来の学力向上を目指す学習は、トランザクショナル・ラーニングで、社会課題解決力向上を目指す学習は、トランスフォメ-ショナル・ラーニングです。このため、学びの羅針盤2030では、知識、スキル、態度、価値観の4つが学びの領域に含まれます。

学びの羅針盤2030は、よりよい社会・未来の実現に主体的に参画する地球市民を育むことを目指しており、『卒業生が社会起業家精神を持って活躍し、次世代により良いバトンを渡す世界』の実現を目指す社会起業大学のビジョンと「目指す姿」は同じです。

 

ウェルビーイング

学びの羅針盤2030の究極のゴールは、ウェルビーイング(幸福)です。それは、一人ひとりの幸福であり、また、人類の幸福でもあります。気候変動を始めとする地球共通の課題を解決するために、今、世界は、SDGsという共通目標を掲げて、活動を始めています。その取り組みには、国、組織、個人レベルで、濃淡がありますが、2030年のゴールに向けて、世界が共通の目標を掲げ、個人レベルでの参画を実感することができる共通目標の達成に向けた取り組みは、SDGsが初めてなのではないかと思います。そう考えると、SDGsは、学びの羅針盤2030の社会実装と捉えることができます。

 

 

ポジティブ心理学の父と言われているセリグマン博士は、幸福の主観的領域を5つ提示しています。5領域とは,P(Positive emotion,ポジティブ感情),E(Engagement,物事への積極的な関わり),R(Relationship,他者とのよい関係),M(Meaning,人生の意味や意義の自覚),および,A(Accomplishment,達成とそのための努力)のことです。

ポジティブ思考を持ち、よりよい社会を実現するために、信頼できる仲間と共に行動し、自分が社会や人々のために役に立っている事を実感し、社会がよりよくなるという結果自己の貢献を確かめることができれば、人は幸せに生きることができると捉えることができます。

社会起業大学の思想である『人がもっとも深い喜びを感じるのは、自分の才能を生かして誰かの役に立った時である』にも、共通する部分があります。

ウェルビーイングとリフレクション

リフレクションは、ウェルビーイングを実現するための手段の一つです。なぜなら、自分を知ることが、自分を活かす上で、大前提だからです。自分が誰と一緒にいると幸せなのか、自分が何をしている時に幸福を実感するのか、自分は何に貢献したいのか、自分にとって何が大切なのかを知ることで、自らの幸福度を高めることが可能になります。同様に、自分が、幸福を感じられないときはどんな時なのかを理解することで、幸せでない状態にならないように工夫することができます。

社会課題とリフレクション

同じ社会に生きながらも、人の興味関心は多様で、誰もが同じことを課題だと感じる訳ではありません。人が課題を発見するレンズは、自分の大切にしていることと密接に関わっています。敎育問題の解決に貢献したいと考える人も、実現したいテーマは、非認知能力開発、21世紀スキル、体育やスポーツ、プログラミング教育等様々です。

自分のレンズ(センサー)が課題を発見した際には、その瞬間を逃さず、リフレクションです。

なぜ、私はそのことが課題だと思うのか。

私は何を大事にしているから、そう思うのか。

私の願う「ありたい姿」はなにか。

そのために、私にできることは何か。

自分に尋ねてみることで、誰もが、社会を変えるために、今、自分にできることで貢献をする社会が実現するのではないでしょうか。

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