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自己推進力養成ワークショップ

2020.03.23 文部科学教育通信掲載

ポジティブ心理学の専門家と協働して、「自己進化力養成ワークショップ」を開発しました。

人は、自己の弱みを改善するよりも、強みに意識を向けて、それを生かし、伸ばすことで、最大の能力を発揮することができるという信念に基づき、ドン・クリフトンが開発したストレングスファインダー(R)を基礎に、リフレクション(自己内省)のメソッドを組み合わせたワークショップです。

 

資質の診断

受講生は、ワークショップ参加前に、ギャロップ社がネット上で提供しているストレングスファイダー(R)診断を受け、自己のトップ5の資質を理解します。ワークショップでは、その資質について、リフレクション(自己内省)と対話を通して、お互いの共通点や違いに学びます。講師や他者からのフィードバックも、貴重な学びの機会になります。

ストレングスファインダー(R)では、人の資質を34分類しています。資質とは、無意識に繰り返される意見、感情、行動パターンであり、何かを生み出す力です。上位資質を磨くことで、資質を自分の強みにすることが可能です。

 

リフレクション

ストレングスファイダー(R)も、他のアセスメントもそうですが、診断結果をどのように、個人が受け止め、活用するのかが大切になります。そこで、自己のトップ5について理解を深める際に、認知の4点セットを活用したリフレクションを行います。

 

(ステップ1)資質の解説を読む

例えば、私の場合には、戦略性が最も強い資質でした。そこで、ストレングスファイダー(R)の解説書マーカス・バッキンガム&ドナルド・O・クリフトン著「さあ、才能に目覚めよう ~あなたの5つの強みを見出し、生かす」 日本経済新聞出版社に、記載されている戦略性についての解説を読みます。

「戦略性という資質によって、あなたは色々なものが乱雑にある中から、最終目的にあった最善の道筋を発見することができます。これは学習できるスキルではありません。これは得意な考え方であり、物事に対する特殊な見方です。他の人には複雑さとしか見えない時でも、あなたにはこの資質によってパターンが見えます。これらを意識して、あなたはあらゆる選択肢のシナリオの最後まで想像し、常に「こうなったらどうなる? では、こうなったらどうなる?」と自問します。このような繰り返しによって、先を読むことができるのです。そして、あなたは起こる可能性のある障害の危険性を正確に把握することができます。それぞれの道筋の先にある状況がわかることで、あなたは道筋を選び始めます。行き止まりの道をあなたは切り捨てます。まともに抵抗を受ける道を排除します。混乱に巻き込まれる道を捨て去ります。そして、選ばれた道――すなわちあなたの戦略――にたどり着くまで、あなたは選択と切り捨てを繰り返します。そして、この戦略を武器として先に進みます。これが、あなたの戦略性という資質の役割です:問いかけ、選抜し、行動するのです。」(同書より)

(ステップ2)アンダーラインを引く

該当する資質に関する解説を読んだ後は、文章の中から、特に自分に該当していると思える箇所にアンダーラインを引いてみます。私が選んだのは、以下の3つです。

  • 他の人には単に複雑さとしか見えないときでも、あなたには、この資質によってパターンが見えてきます。
  • あなたは起こる可能性のある障害の危機性を正確に予測することができます。
  • 問いかけ、選抜し、行動するのです。

(ステップ3)認知の4点セットでリフレクションする

次に、認知の4点(意見、経験、感情、価値観)セットを活用し、なぜ、この3箇所が気になったのかをリフレクションします。ここでは、一つだけ、リフレクションを紹介します。

意見:他の人には単に複雑さとしか見えないときでも、あなたには、この資質によってパターンが見えてきます。

経験:どんな経験がありますか。

未来の教育を創るワークショップや未来教育会議では、多様な立場の教育関係者と対話を繰り返し、教育の課題を探求しました。その際に、システム思考を使い、先生が滝つぼで溺れている教育システム(①)や、主体性を奪う教育のシステム的な課題(②)、教育と経済は双子(③)であるなどを明らかにしてきました。

感情:その経験には、どんな感情が繋がっていますか ——苦しさ

価値観:どのような価値観が、その意見や経験の背景にありますか。あなたは、何を大事にしているのでしょうか。——–課題解決のために、課題を可視化する、課題について認識を揃える、全容を俯瞰する

 

 

 

(ステップ4)価値観を理解する

リフレクションを行うと、私がパターンを見ようとする背景に、課題を可視化して、共通認識を確立することや、課題を俯瞰することが、課題解決のために必要なことだと思っていたことがわかります。私は、おそらく、課題解決のために、戦略性という資質に、投資し続けてきたようです。

 

リフレクションと多様性

このように、トップ5の各資質について、自分の経験を振り返り、自分がどのように、その資質を活用してきたのかを理解することで、資質との向き合い方を整理することも可能になります。ワークショップでは、他にも、戦略性をトップ5に含む人がいましたが、当然、夫々が、戦略性の解説の中で、自分に該当すると思う箇所も、その解説に紐づく経験も異なります。もちろん、リフレクションで明らかになる価値観も異なります。

 

診断結果が同じでも、その資質が持つ意味や、生かし方は一人ひとり異なることが、認知の4点セットを活用したリフレクションを行うと明らかになります。

これからのキャリアや人生に、強みの源泉となる資質をどう生かしていくかをより深く考える機会になります。

 

リフレクションは幸福の元

診断結果に限らず、自分の考えを深掘ってみたい時、ぜひ、認知の4点セットを活用したリフレクションを実践してみてください。リフレクションを繰り返すと、自分が何を大切にしているのかがはっきりと見えてきます。自分が大切にしている価値観は、自分を幸せにする原動力になります。また、時に、その価値観は、資質同様、使いすぎると人生の阻害要因になることもあります。リフレクションの習慣を持っていれば、そのことにも、気づきやすくなります。

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