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就活生のためのリフレクション講座

2019.04.08文部科学教育通信掲載

3月21日に、ニュースピックスにて、就活生のためのリフレクション講座を実施し、150人の大学生が日本中から集まってくれました。講座では、リフレクションの目的を、「何に貢献すると、やりがいと幸せを感じられるのか」の問いについての答えを見つけることと定義しました。

 

リフレクション講座のテーマは、3つです。

1.リフレクションでやりがいを見つける

2.リフレクションで貢献するテーマを見つける

3.リフレクション活用のためのヒント

 

リフレクションでやりがいを見つける

最初のテーマは、やりがいの見つけ方についてです。価値観リストを活用して、動機の源を探す方法を学びます。動機の源とは、やりがいを感じる理由であり、あなたを突き動かす大切な価値観のことです。同じ仕事をしていても、やりがいを感じる所は、人によって異なります。

 

仲間とプロジェクトを成功させた時も、嬉しい理由は様々です。

嬉しい理由(事例)

    • みんなとがんばれたことがうれしい
    • クリエイティブなアイディアが生まれてうれしい
    • 他のチームに勝てたことがうれしい
    • 計画通りに実施できたことがうれしい
    • リーダーシップを発揮できたことがうれしい
    • スキルアップできたことがうれしい

動機の源を知るために大切なことは、自分が嬉しい理由、やりがいを感じる理由を知ることです。価値観リストの中から、自分の大事にしているキーワードを選び、そのキーワードに紐付く経験を掘り下げていきます。

 

愛情というキーワードを選んだ方の事例を見てみましょう。自分が小さい時に体が弱く、おばあちゃんによく面倒を見てもらった思い出と繋がっているある方は、愛情という言葉に、看病をしてくれたおばあちゃんとの思い出を結びつけています。病気でも、おばあちゃんが一緒にいてくれるので、安心して過ごすことができたのだそうです。そこで、自分も、大切な人を幸せにすることを大切にしたいと考えています。

 

もう一人愛情というキーワードを選んだ人の事例を聞いてみると、同じ、愛情というキーワードを選んでいても、その言葉の意味づけがまったく異なります。お家が幼稚園を経営しているその方は、子どもたちの笑顔が、園長先生をしているお母さんと結びついています。子どもたちが元気で笑顔一杯の様子を見ると、心が安らぎます。そこで、自分も、みんなを笑顔にできることを大切にしたいと考えています。

 

私たちは、過去の経験を通して、大切な価値観を形成します。このため、過去の経験を振り返ることはとても大切なこと。自分史を書くことも、その意味で有益です。ただ、多くの場合、自分史を書いても、出来事を振り返るだけで終わってしまっている場合が多く残念です。自分史を振り返るのであれば、過去の経験を、自分がどのように意味づけているのか、ポジティブと感じているのであれば、その理由は何かをリフレクションすることが大切です。そうすれば、自分が何者かを知ることができ、自分を活かしやすくなります。

 

私たちは、数多くの動機の源を持っているので、皆さんには、そのリストを作ることをお勧めしています。そうすれば、あらゆる場面で、何かしら自分がやりがいや幸せを感じる理由を見つけることができます。

 

リフレクションで貢献するテーマを見つける

動機の源の見つけ方の次は、「貢献するテーマ」の見つけ方を学びます。私は、どんなテーマに取り組むとやりがいを感じることができるのか。貢献するテーマとやりがいの関係は、3つの要素でできています。3つの要素とは、現状とありたい姿と動機の源です。この3つの要素が、情熱のメカニズムです!

 

貢献するテーマを見つけるためにお勧めなのが、取り組むすべてのテーマに関して、現状とありたい姿を定義し、それを自分の動機の源に結びつける思考の習慣を持つことです。たとえば、議事録を書くことを頼まれたら、これまでの私の議事録作成を振り返り、自分なりにビジョンを定義します。あの先輩と同じレベルにしよう。所要時間を短くしよう。誰々さんにこんなフィードバックをもらうことを目標にしようなど、自分なりのビジョンを決めます。この際、動機の源にも意識を向けます。そうすればゲーム感覚で楽しむ、人から認められる、期待を超える、効率的な仕事をするなど、自分の大事にしていることとビジョンと繋げることができます。こんな風に、3点セットを頭の中に持ちながら活動することができると、どのような取り組みにおいても、自分らしく貢献することができます。

 

ワークショップでは、国連のSDGs(持続可能開発目標)を活用し、自分の情熱のメカニズムを探求しました。17の目標の中で、自分の興味のあるテーマを選び、認知の4点(意見、経験、感情、価値観)セットに答えます。

 

教育というテーマを選んだ人の事例をみてみましょう。

①私の意見:教育に関心がある。②私の経験:ボランティア活動で困難を抱える子どもの学習支援を行ったことがある。その際に、学習する環境をまったく与えてもらっていない子どもたちがいることを初めて知った。これまで、自分の力だけで志望校に合格できたと思っていたが、家族の支えがあったことに初めて気づいた。

③感情:悲しみと喜びの両方

④価値観:家族への感謝

 

認知の4セットを活用し、選んだテーマとその理由をリフレクションしてみると、自分が大事にしていることや、自分が、そのテーマをどのように解釈しているのかを知ることができます。こんな風に、リフレクションを行えば、驚くほど自分のことを知ることができます。

 

クリエイティブテンション

情熱のメカニズムと命名した「現状とありたい姿と動機の源の3点を結びつける考え方」のことを、学習する組織では、クリエイティブテンションと呼んでいます。自分が強く願っていることを実現する際に、自分の潜在的な能力が最大化し、創造性も高まるというのです。この法則を元に、アントレプレナーを眺めてみるととてもわかりやすいです。誰もが、できると思えないようなことに挑戦する彼らには、自分なりの理由があります。たとえば、グーグルを創業した2人の若者の親は科学者で、情報を正しく扱うことも、大事にしていたそうです。そんな彼らが、当時、テレビ広告のように扱われていた検索システムに大きな疑問を持ったことが、グーグルの生まれた背景です。誰もが、何も疑問を持たず、高い広告収入を払っている企業の情報が、検索結果のトップに掲載される検索エンジンを使っている中で、彼らは、「世界が間違っている」と叫びます。検索エンジンが民主的な仕組みに生まれ変わった背景には、彼らのクリエイティブテンションがあります。

 

クリエイティブテンションにつながる「貢献のテーマ」に取り組むと、多くの場合、学びと成長という副産物もついてきます。多くの場合、ありたい姿を実現することが簡単ではないからです。

 

リフレクション活用のヒント

最後は、リフレクション活用のヒントです。それは、ネガティブな感情を活用することです。

ネガティブな感情は、大切にしている価値観に紐づいています。なぜ、ネガティブな感情になるのか、現状とありたい姿を分析してみると、容易に自分の動機の源を知ることができます。頭にくる。間違っている。いやだ。もっとこうだったらいいのに。不便だ。こんな気持ちになったら、認知の4点セットでリフレクションすることがお勧めです。きっと、「なにに貢献するとやりがいや幸せを感じることができるのか」その答えを見つけるヒントがあるはずです。

 

 

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