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未来をつくるリーダーになるワークショップ 海陽学園での取り組み

先日、愛知県蒲郡市の海陽学園で高校生を対象としたリーダーシップワークショップを開催いたしました。
自己マスタリー(自分が「どのようにありたいのか」、「何を作り出したいのか」について明確なビジョンを持ちながら、ビジョンと現実との間の緊張関係を創造的な力に変えて、内発的な同期を築くプロセスのこと。)に忠実に生き、周囲の人を上手に巻き込み、主体的に自らの人生を切り開いていく力を中高校生のうちに身につけることが、未来をつくるリーダーになる第一歩です。
終日ワークショップを行い、私も生徒や先生方からたくさんの気づきと学びをいただきました。

今回は、ワークショップの様子とそこでの学びをご紹介いたします。

 

海陽学園について

「将来の日本を牽引する、明るく希望に満ちた人材の育成」という建学の精神を掲げ、平成18年に設立された全寮制学校(ボーディングスクール)です。ウェブサイトには、「ここはリーダーの出発点。そして、社会への入口。」という文言が書かれており、まさに21世紀のリーダーを養成し、世の中に送り出す役割を担う学校であると言えます。
全寮制であるため、生徒はハウスと呼ばれる寮で生活します。ハウスには、ハウスマスターと呼ばれるベテランの先生が常駐していて、日々の生活や将来のことまで様々な面で生徒の相談に乗り、成長を全面的にサポートしています。また、日本を代表する各分野の企業から派遣されたフロアマスターと呼ばれる社会人の先輩も常駐しているため、生徒は身近な大人との交流を日常的に経験することができます。

私が訪問した際、フロアマスターが生徒達にコーチングを行っているところを見学させていただきました。生徒達は、将来やりたいことを中心に、なぜそれをやりたいのか、自分の強みや弱みは何かなど、真剣に語り合っていました。フロアマスターと生徒達も打ち解けあっており、具体的な質問やフィードバックが行われていることに驚きました。日頃、ハウスでの活動を通してこうした経験を積めるのは、自分のリーダーシップを磨く良い機会になると思います。

 

リーダーシップワークショップについて海陽学園ワークショップ

リーダーの土台を日常で身につけている生徒に、より体系だったリーダーシップを学ぶ機会を提供したいと願うハウスマスターの先生にお声をかけていただき、今回このワークショップを開催することになりました。

参加を希望する生徒から事前にエントリーシートを集め、面談を実施していただきました。エントリーシートには、今までのリーダーの経験をもとに、気づいたことや失敗から学んだことがぎっしりと書かれており、参加する生徒の望みや課題を知ることが出来て良かったです。

ワークショップに先立って、「ライフライン」という、今までの人生を振り返ってどのような時にモチベーションが上下したかを記したグラフを作成してもらいました。

当日は、以下のアジェンダにそってワークショップを実施しました。

  1. アイスブレイク(自己紹介)その日の気持ちを表す写真を一枚選び、他のメンバーになぜその写真を選んだのか、また、その写真が自分に「リーダーシップとは何か」問いかけていると思うかを共有します。
  2. リーダーの物語自己マスタリーに忠実に生き、対話を通して共感者をつくり、共有ビジョンに向かってPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Actサイクル)を回し、失敗からも成功からも学習し続け、課題にぶつかった時は創造的問題解決を行うリーダーの物語を共有します。メンタルモデル(物の見方、色眼鏡)や自己マスタリーといった大切なキーワードを説明し、理解を深めます。
  3. 学習する組織のリーダーに必要な力私たちが目指すリーダーは、「一人のリーダー」や「偉大な戦略家」ではなく、起こりうる最良の未来を実現するために、能力と気づきの状態を高め続けることのできるリーダーであることを共有します。学習する組織のリーダーは、自己マスタリーを持っていて、共有ビジョンに向かって進んでおり、メンタルモデルに縛られずに様々な人や出来事から学び、個人だけでなくチームでの学習を進め、部分にとらわれずシステムで物事を考えることのできるリーダーのことです。
  4. 自己マスタリーの探求事前に作成してきた「ライフライン」をもとに、ペアになって自分がどのような時にモチベーションが上がるか、何をしている時に充実していると感じるかなどを話し合い、自己マスタリーを探求します。

    また、「ビジネスモデル・キャンバス」を作成し、自分のキーパートナーや他の人に与えられる価値などを洗い出します。そのキャンバスをもとに、これから何を行えば良いかを考えます。

    ライフラインとキャンバスを参考に、「目的宣言文」を作成します。目的宣言文は、活動・人・支援というグループに分けて、最も楽しみながら注力できる活動は何か、一緒に時間を過ごしたい人は誰か、どのように人を助けているか、また具体的にどのように役立っているかを考えます。

  5. チームビルディング学習する組織のリーダーは、単独で行動するのではなくチームで活動し学習します。その際に必要なチームビルディングの方法や文化の作り方を学びます。また、良いチームをつくるためにはダイアログ(対話)をすることが必要になるため、話すことと聞くことのポイントも学び、実践します。
  6. 共有ビジョンとアクションプラン共有ビジョンの原点は一人ひとりの思い(願い)であること、その思いがダイアログを通して一つになる時に大きな力を持つ共有ビジョンが生まれることを学びます。

    また、生徒達は自身の短期的ゴールとその評価軸、主なアクションとアクションの結果(成功の評価軸)を考えます。

  7. リフレクション(内省)本日のワークショップを通して気づいたことや学んだことを振り返ります。

 

参加された生徒さん、フロアマスターの方からは以下の感想をいただきました。

・ 生徒1

リーダーシップワークショップという名称のもと、私は興味を惹かれて参加しましたが、リーダーシップについての様々な考え方とともに、自分を追求する新たな方法も同時に学ぶことができ、一番知っているようで知らない自分を追求することの大切さを改めて実感しました。

・ 生徒2

ワークショップでは頭の中でもやもやしていたことが晴れ、整理されたのですごく良かったです。自分のことを話し、それについて意見を言ってもらうことで、自分のこともわかっていき、自信を持てるようになった気がします。リーダーシップの説明では自分の課題がよく分かり、次からはどうすればいいかという希望も持てました。

・ フロアマスター

自分自身について深く考える時間を作ることが出来たと思います。特に2段階のワークを行なうことでより深く自分自身を知ることが出来たと思います。具体的にはライフラインシートを作る際に自分自身で振り返り、それをワークショップで共有化することで、他者からも多くの気づきを得られたと思っています。自分のことを知ることが、他者との関わりを深めていく出発点だと改めて感じましたので、今度も定期的に自分自身について考える時間を作っていきたいと思います。

 

今までを振り返り、自分の強みやもっと伸ばしていけるところを認識し、今後どのようなことに従事したいかを考え、そのために必要なリーダーシップを身につけるために何ができるかを考える機会となったと思います。

より多くの人が学習する組織のリーダーとなることを、わたしたちはこれからも応援し続けます。

 

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