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NBC講演

日時: 2009年1月27日~29日
中国地方の3都市 ― 松江、山口、広島で、「企業の人材獲得・育成のためのパワーアップゼミ 未来型経営~社員の成長が、会社の未来を作る~」と題する講演をいたしました。今後、企業が発展していくために、優秀な若手人材が必要不可欠です。地域企業が優秀な若手人材を定着させるためには、未来型経営に変革していく必要があります。

【会社を取り巻く環境の変化】
昨年の金融危機の直後、2008年の10月にハーバードビジネススクール(HBS)の創立100周年を祝う記念サミット会議に参加しました。HBSが創立された1908年は、T型フォードの量産がスタートした年であり、大量生産・大量消費の資本主義を象徴する生産システムの始まりの年でした。それから100年後の現在、これまでの収益や成長ばかりを目的としていた企業活動ではない、地球や人類の未来を見据えた新しいパラダイム(ある時代に支配的な物の考え方・認識の枠組み)が発生してきたといえるでしょう。
その新しいパラダイムの象徴ともいえるのが、「“生きている資産”を重視する」という、新しい経営理論です。 “生きている資産”、つまり人間と自然界を重視する経営においては、短期的な経営効率のみを指標とせず、経営が落ち込んだ時にでも持ちこたえることのできる会社こそ、良い会社であると考えます。

【人が未来型経営に求めること】
個人の未来をどう作るか?というのが、現代人(特に若者達)の探している課題です。豊かな社会になったことで、従来のような会社に対する盲目的な忠誠心は無くなり、社会とのつながりの実感、自己実現の実感、組織に対する帰属欲求の高まりなど、精神的な満足度を求める時代になりました。
社員との信頼関係を築くためには、彼らに対してだけでなく、社会や法律、環境などに対しても誠実な対応が求められます。誠実さを伝えるためには、社内コミュニケーションをおろそかにしないことや、経営者を身近に感じ、その思いを知ってもらうために、経営者自身の人となりを伝えることが効果的だと考えます。会社の目標を達成するための駒として社員を動かすのではなく、個人の目標を尊重してゴールを設定することで、仕事を通じての充実感が社員の精神的な報酬となります。

【選ばれる会社の風土を作る】
それでは、選ばれる会社になるにはどうすればいいのでしょうか?まずは、最もシンプルで、お金もかからずすぐできて、効果絶大なことは、「名前を呼びかける・挨拶をする・笑顔でいる」の3つです。これらは当たり前のことですが、デール・カーネギーの『人を動かす』にも書かれているほど普遍的で、重要なことです。この3つを行うことで、パーソナルにつながっているという実感が湧きやすいのです。忙しい時ほど、「ありがとう」という感謝の言葉と、労をねぎらう「ごくろうさま」の一言を、社員や部下にかけることが必要なのです。社員を叱る時は、一つ叱ることが四つ褒めることに相当するという、「4:1の法則」を思い出してください。人を育てるためのインフラ整備だと思って、叱ることの4倍、部下を褒めてみましょう。

【選ばれる会社のリーダー達】
これまでのリーダーといえば、光り輝くカリスマ的な存在でした。しかし、今求められているのは、皆を主役にでき、皆が輝くことを応援できる組織を作れるリーダーです。それが経営者であれば、引退する時に株価が下がらないリーダーです。知的生産社会のリーダーには、実行のスピードと確実性においては、ヒエラルキー型組織として行動し、意思決定の質と合意においては、アメーバ型組織として行動できる両方のことが望まれています。
また、「自分のやる気の10分の1が部下のやる気」ということを自覚し、“自分のやりがい”と“仕事”をどう結び付けるかという方法論を持って、自らのやる気をアップできる人でなければなりません。つい自分の好きなこと(モチベーションの上がること)を皆にも押し付けてしまいがちですが、それが皆のモチベーションを下げる結果とならないよう、一人一人の「好き」の違いを理解することが大切です。 進化型のリーダーは、立場にこだわらず部下からも学ぶことができます。リーダーは、答えを知っている必要はなく、自ら学び、答えを探していくことができればよいのです。メンバーに対してどうなりたいかという方向性のビジョンを語り、1人ひとりのモチベーションを大切にし、対話を通じてメンバーのベクトルを合わせを行うことが出来れば、さらに良いリーダーとなれるでしょう。

【理想のチームと対話】
チームの取り組みが成功するために重要なのは、戦略の質よりメンバーの納得度です。トップダウンで決断してスタートすると、スピードは速いですが、メンバーの納得度は低くなります。厄介で納得が難しいことこそ、構想段階からメンバーを巻き込むことが大切です。 話し合いを行う時は、意見を出し合った後、他者の意見に対する評価を保留にして、「なぜそう思うのか?」という理由を説明する段階を持たなければいけません。メンバーの意見を様々な角度から検討し、重要度に沿って評価し、メンバー全員で決定することによって、決定事項に対するメンバーの納得度が高く、行動のスピードも高くなります。

【手作りの研修が一番】
「手作りのおいしいごはん」と「いい研修」の共通点は、愛情と栄養がたっぷりある点です。いい研修を実施するには、自社に合った手作りの研修を行うのが一番です。多くの人が困っている問題を解決するためのスキルや方法を教えるのが、研修の目的です。例えば、GEでは、新しく赴任してくる上司のために、新任上司融合研修を実施して、チームがスムーズに稼動するまでの期間を短縮しています。研修のプログラム事例を御紹介しますので、参考にしてください。
会社を取り巻く環境が変わり、パラダイムシフトが起こった現在、心の豊かさを求める時代に変わりました。これまで家庭や学校で育ってきた人を、仕事を通して社会で成長させるのは会社の担う役割です。そんな中で選ばれる会社となるために、今回の内容を「未来型経営」へ変化していく際の参考にしていただければと思います。

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