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BT 真のワークライフバランス企業

BTにおけるワークライフバランスは、女性のテーマではない。『人』と『企業』がどのようにワークライフバランスを確立することが両者にとってメリットを最大化することができるのかを追求することを、BTでは、ワークライフバランスと位置づけている。BTは究極のワークライフバランス企業である。BTとは、売上4兆6,000億円、世界に10万人以上の社員のいるイギリスに本社を置く、国際通信事業会社である。

BTには、ワークライフバランスの取り組みに対する3原則がある。すべての取り組みは、この3原則に従って実施されなければならない。

  • 原則1:仕事で大事なことは、どこで働くかという場所ではなく、何をするかという内容である
  • 原則2:ワークライフバランスは、社員および双方にメリットがあり、その効果は常にデジタルで把握すべきである
  • 原則3:ワークライフバランスは、企業が社員に対する福祉のために行うコストではなく、経営戦略上の重要な投資として位置づけられるものである
     

BTでは、これら3つの原則に従い、1986年から、すでに20年以上もワークライフバランスに取り組んでいる。

BTには、在宅勤務をはじめとする多様なフレキシブルワーキングスタイルが用意されている。社員は、自らの意志で、その中から、自分に合ったワーキングスタイルを選ぶことが出来る。

最も驚いたことは、部下が、フレキシブルワーキングを選択したいと上司に伝えた際に、上司は、決して『どのような理由で?』と聞いてはいけないという話だ。ワークライフバランスの選択は、個人のものであり、個人の意志は尊重されるべきものであるから、理由を聞いてはいけないというのである。

【BTのフレキシブルワーキングスタイル 】
真のワークライフバランス企業であるBTのフレキシブルワーキングスタイルをご紹介しよう。

◆集中勤務:総勤務時間は同じだが、勤務日数を減らし、仕事のない日を増やす
例)一日の仕事時間を長くして、月~木曜までの週4日間に集中させ、金曜日は 子供との付き合い、学校サポートに当てる

◆ジョブシェアリング:仕事や個人のニーズに合わせて、複数で仕事を共有する
例)一人は、月・水・金、もう一人は、火・木に同じ仕事をシェアする

◆完全在宅勤務:従業員の10%(13,000名)以上はすでに完全在宅勤務者である

◆部分的な在宅勤務:勤務の一部を在宅で、残りは、BTや顧客のオフィスで行う。従業員の70%(約70,000人)が部分的な在宅勤務を行っている。

◆長期休暇制度:自己啓発、教育、趣味など、特定目的で有給または無給休暇を最長2年間提供する
例)2年間の休暇で、チャールズ皇太子のプライベート秘書を勤めた社員など

◆自由勤務:業績、品質、期間など特定な合意の下で勤務し、勤務パターンや勤務地は固定しない

働くお母さんにとっては、集中勤務や、タイムバンキングなどはとてもありがたい制度だ。自分の24時間をうまく使うことができれば、もっと働けると感じている女性は多いはずである。

【BTのフレックス定年制】
BTのフレキシブルワーキングスタイルには、フレックス定年制が用意されている。 フレックス定年制とは、ライフスタイルに合わせて、退職の12ヶ月前から、働き方を選べる制度である。
◆イーズダウン:仕事の負荷を減らし、一部の責任を移譲する
◆ステップダウン:より責任の軽い職務に異動する
◆ヘルピングハンズ:非営利団体や政府機関に一定期間移籍する
◆ワインドダウン:徐々に仕事の負荷を減らす

また、2007年より年齢による退職は廃止になっている。私には、まだ、定年計画はないが、おそらく、仕事をやめて、第2の人生に入る際に、徐々に体のリズムを変えていくというのが理想ではないかと思われる。退職する人たちまでも、個人として尊重されるというのは、本当にすばらしい。BTは、人を大切にする、人を尊重する企業である。

【BTの取組みによる成果】
BTのワークライフバランスへの取り組みは、コストではなく投資であり、成果はデジタルに測定されるべきであるという大原則がある。では、BTの取り組みはどのような成果が実現しているのだろうか?

◆欠勤の減少
欠勤率は、英国の平均を20%下回り、在宅勤務者の平均年間病欠日数は、わずか 3日である
◆定着率の改善
出産休暇後に、女性の98%がBTに復帰している。フレックス勤務により1,000名以上 の引きとめに成功している
◆生産性の向上
生産性は15~31%向上している。在宅のコールセンター・オペレーターは、センター勤務と比較して20%多くの通話に対応し、質も高い
◆顧客と従業員の満足度向上
顧客の不満度が22%減少した。在宅勤務者の満足度は、通常勤務者よりも7%高い
◆メンタルヘルスの改善
精神的疾患による退職が80%減少した
◆通勤手当の削減
12ヶ月で述べ1800年相当の通勤時間を削減した。通勤手当21億円を削減した
◆事務所費の削減
ロンドン中心部のオフィス勤務者にかかる費用を1人当たり年間約380万円削減した
◆リクルート・採用コストの削減
定着率改善により、年間12億円の採用コストを削減した
◆地球環境への貢献
二酸化炭素排出を54,000トン削減し、燃料消費を1,200万リットル分削減した

BTのワークライフバランスへの取り組みは、20年かけて確立されたそうである。日本企業の取り組みも20年後にはBTのようになっているのだろうか?コストや福祉としてのワークライフバランスへの取り組みは失敗する。また、根底に、個のライフスタイルやワークライフバランスを尊重するという思想がなければ、失敗する。真のワークライフバランスを実現してくれる日本企業の出現を期待したい!

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